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ザ・キュアー『Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me』のアルバムカヴァーは予期せぬ出来事から生まれた デザイナーが逸話を語る

2025/04/15 18:57掲載
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The Cure / Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me
The Cure / Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me
ザ・キュアー(The Cure)のアートワークを手がけるアンディ・ヴェラによると、1987年作『Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me』のアルバム・カヴァーの最終的なデザインは予期せぬ出来事から生まれたという。英BBCのインタビューの中で、ザ・キュアーと仕事をすることになった経緯や、アルバム・カヴァーの逸話を語っています。

『Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me』の時、ヴェラはまだ作業中でしたが、新しいアルバムのデザインの承認を得るため、リオデジャネイロまで飛行機で行かなければなりませんでした。

すでに濃いメイクの唇の写真を使うことは決まっていて、唇の写真とは別に、手書きの文字「The Cure Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me」は別の透明プラスチックシートに印刷されていました。ヴェラは空港へ向かうタクシーの中でレイアウトを試していました。すると…

「スピードバンプ(道路の段差)を乗り越えたとき、その透明プラスチックシートがジャケットのちょうど真ん中に飛んでいってしまったんだ。

普段なら、ジャケットの真ん中に文字を配置するなんて絶対にやらないし、特に上部には絶対にやらないんだけど、でも、その時はそれがぴったりとはまったので、“まあ、これも選択肢のひとつだ”と思ってセロテープで貼り付けたんだよ。

リオに着いてからロバート(スミス)に見せたら、彼は“いいね、素晴らしい! 文字の配置が気に入った”と言ってくれた(笑)。物事にアーティスティックにこだわり過ぎるのもいいけど、時には成り行きに任せるのも悪くないと思うんだよね(笑)」

ヴェラのキャリアは、1970年代にザ・キュアーが結成された直後に始まりました。

まだ美術学校で勉強していたとき、ヴェラはザ・キュアーのギタリスト、ポール・トンプソンに声をかけられました。トンプソンは当時、自身が参加していた別のバンドの写真を撮ってほしいと依頼したという。ヴェラはこう続けています。

「彼は“君が写真が上手いって学校で評判だよ”と言っていた。それを、たまたまロバートに見せたのがきっかけに、18歳の僕は突然、ザ・キュアーのアルバム・カヴァーのデザインを依頼されることになったんだ」

そのアルバムはバンドの3枚目のアルバム『Faith』で、ヴェラはその後、1989年の『Disintegration』、1985年の『The Head on the Door』、そして2024年にリリースした復活作『Songs of a Lost World』など、ザ・キュアーの象徴的なアルバムのカヴァーを手がけています。

ヴェラは新しいデザインに取り組むときはいつも「彼らがやっていることに共感し、そこから何かをひねり出すようなもの」を探しているという。「ロバートの場合、彼の歌詞は非常にインスピレーションに富んでいる。たった1行を何度も読むだけで、素晴らしいアイデアのきっかけが突然ひらめくことがよくあるんだ」

復活作『Songs of a Lost World』では、横たわる石像の頭部がフィーチャーされています。ヴェラによると、これは「ザ・キュアーは80年代当時と変わらず素晴らしいサウンドと圧倒的な存在感を持っていた。このアルバムには、それを象徴するような、壮大で、非常に感動的で、しっかりとしたものが必要だったんだ」