ザ・バンド(The Band)の共同創設者である
ロビー・ロバートソン(Robbie Robertson)の最後の音楽作品は、息子セバスチャン・ロバートソンと共に手がけたドキュメンタリー『Sitting Bull』のサウンドトラック。
ロビーは、北アメリカ先住民族モホーク族の血を引いていますが、このドキュメンタリーは、同じ北アメリカ先住民族ラコタ族の伝説的なリーダー、シッティング・ブルことタタンカ・イヨタケの壮絶な生涯を追った、ヒストリー・チャンネルの2部構成ドキュメンタリーシリーズです。
シッティング・ブルの物語は、専門家へのインタビューと、ラコタ族の俳優マイケル・スピアーズがシッティング・ブルを演じる歴史的事件の再演を通じて描かれます。レオナルド・ディカプリオがエグゼクティブ・プロデューサーを務めています。
『Sitting Bull』の第1章は米国では5月27日にヒストリー・チャンネルで放送され、第2章は翌日に放送されます。
『Sitting Bull』のクリエイティブチームは、音楽スコアの制作をセバスチャン・ロバートソンと彼の父親であるロビー・ロバートソンに依頼しました。
セバスチャンは米ローリングストーン誌のインタビューの中で、こう話しています。
「この機会を大変嬉しく思い、すぐに取り掛かりました。父の健康状態が悪化していたので、僕たちにとって複雑な時期でした。でも、多くの人にとってそうであるように、音楽という芸術は現実逃避の手段でもありました」
セバスチャンはタイトルテーマを一人で制作し始め、その進捗を父親と共有しました。こう振り返っています。
「父が厳しい批評家だったことは間違いありません。このプロジェクトのインスピレーション、僕のルーツ、文化と父を敬う気持ちが、僕を最高の状態に押し上げました。父はデモに大喜びでした。アイデア、ギターのフレーズ、ヴォーカルをやり取りし、満足いくまで練り上げ、制作チームに送りました。完璧に仕上げたと思います」
これは、ロビー・ロバートソンが2023年8月に亡くなる前に取り組んだ最後のプロジェクトの一つでした。最終的にセバスチャンは一人で完成させました。
「父は今も僕のそばにいて、最後の選択に知恵と芸術性を吹き込んでくれた。父と僕が共に創り上げたこの作品は、僕にとって最も誇り高く、記憶に残る作品の一つとなるでしょう。
父の母親の言葉、僕たちの民族、そして存在の全てに宿るリズムを取り入れて、僕たちは最後の音楽作品を一緒に作り上げました……あるいは、もしかしたら、まだ何かが残っているかもしれません。ロブ、大好きだよ。そして、これを実現させてくれた『Sitting Bull』のチームに心から感謝しています」
『Sitting Bull』のトレーラー映像と、メイン・タイトルテーマの特集映像が公開されています。
『Sitting Bull』のトレーラー映像
メイン・タイトルテーマの特集映像