セッション・ミュージシャンとして、数々の名曲・名演を陰で支えた、レッキング・クルーの伝説的ドラマー、
ハル・ブレイン(Hal Blaine/2019年没)。2005年のModern Drummer誌のインタビューの中で、スタジオセッションのドラマーにアドバイスを残していました。MusicRadarが復刻掲載しています。
Q:スタジオセッションのドラマーにどんなアドバイスをしますか?
「スタジオでの仕事というのは、他の仕事と特に違いはない。デパートで働くのであれば、お客様に気持ちよく過ごしてほしいと思うよね。特に歩合で給料をもらっているなら、なおさらだ。お客さんに親切にすればするほど、もっと買ってもらえるかもしれない。人は親切に対応されると嬉しいものだから。
僕には長年使っているモットーがある。それは“笑顔でいれば、しばらくはそこにいられるが、不機嫌な顔をすれば追い出される!”というもの。自分こそが“最高の中の最高”だと思っている人たちを何度も見てきたけれど、そういう人とは、まともに話ができない!“5分間の休憩です。5分後にここに戻ってきてください”と伝えることさえできない。まるで“戻りたい時に戻ってくるよ”と言わんばかりの目で君を見るだろう。
そうなれば当然、二度とその人をセッションに呼ぶことはない。短期間のうちに、多くのプロデューサーと仕事をすることになるけれど、そのうちの何人かに“こいつはセッションに必要ない。足手まといだ”と判断されてしまうだろうね。
才能やテクニックの話になると、スタジオで早い段階で学ぶことの一つは“less is more(レス・イズ・モア/余計なものがない方がいい)”ということ。曲の適切な場所に1回良い演奏を入れることは、パラディドルを100万回繰り返すよりも価値があるんだ」