Spotifyは、毎年恒例の「Loud & Clear」レポートを発表。Spotifyから高いロイヤリティ収入を得ているミュージシャンは増加しており、また、ますますグローバル化していることを報告。さらに、1再生あたりの料金という概念は「誤解」であるとも伝えています。
Spotifyのグローバルマーケティングおよびポリシー、音楽ビジネス部門の責任者であるサム・デュボフはこう述べています。
「Spotifyだけで1万ドル(約150万円)、10万ドル(約1,500万円)、100万ドル(約1億5千万円)の収益を上げているアーティストの数は、2017年以降、少なくとも3倍に増えています」
また、そうしたアーティストの出身国も多様化しています。デュボフはこう続けています。
「10年前は、本当に高い成功を収めるには、英語かスペイン語で歌う必要があったでしょう。現在、Spotify だけで年間1億ドル(のロイヤリティ)を稼ぎ出している楽曲は8言語で確認されています。英語やスペイン語だけでなく、ドイツ語、ポルトガル語、フランス語、日本語、韓国語、イタリア語でもです。Spotifyで大きな収益を上げているアーティストのほとんどは、ロイヤリティの大半を自国市場以外から得ています」
Spotifyのデータによると、1万ドル(約150万円)以上を稼いでいるアーティストの数は2024年に8%近く増加して、71,200人に達しました。一方、Spotifyから10万ドル(約1,500万円)以上を稼いでいるアーティストの数も同様の割合で増加して、12,500人に達しました。
このレポートで「誤解」として取り上げているのは「1再生あたりの料金」という概念です。デュボフはこう述べています。
「アーティストとの会話でよく話題に上るのが、この1再生あたりの料金に関する認識です。ソーシャルメディアでの人々の発言を聞いていると、すべてのストリーミングサービスが1再生あたりの料金に基づいて支払っているように思うかもしれません。
しかし、主要なストリーミングサービスは、1再生あたりの料金に基づいて支払いを行っていません。すべての主要なストリーミングサービスは、ストリームシェアに基づいて支払いを行っています(※つまり、ロイヤリティプールは、総ストリーム数における権利保有者の割合に応じて分割される)」
また、Spotifyは、最も収益を上げているアーティストに対する認識を変えたいとも考えています。デュボフはこう述べています。
「Spotifyだけで年間100万ドル(約1億5千万円)を稼いでいるアーティストがどのような人たちだと思うのか尋ねると、まず一番に出てくるのは、大ヒットを飛ばしている大スターです。次に多く耳にするのは“何十年も前に人気があったレガシーなアーティストたち”という意見です。3番目に多いのは“アメリカ、カナダ、西ヨーロッパのアーティストに違いない”というものです」
デュボフによると、Spotifyのデータはこうした思い込みを覆すものだという。
100万ドルを稼いだアーティストの80% (約1,500人) は、Spotifyの「Global Daily Top 50」に一度もランクインしたことがなく、その半数以上が2010年以降にキャリアをスタートさせたアーティストだという。さらに、これらのアーティストは17の異なる言語で歌ったりラップしたりしているとのこと。
デュボフは「勢いがあれば、世界中の何億人ものリスナーがアクセスし、そこから収益も得られる」と付け加えています。