「あなたにとって最大の功績は何ですか?」と尋ねられた
ドノヴァン(Donovan)。シンプルな質問に対する、
ビートルズ(The Beatles)、
ピンク・フロイド(Pink Floyd)、
レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)、
ハッピー・マンデーズ(Happy Mondays)との逸話を絡めた壮大な回答が話題に。The New Cueの新しいインタビューより。
「本来は自分が成し遂げたことを言うべきなんだろうけど、僕の場合は、それ以上に触媒としての役割が大きい。
僕は、音楽のスタイルをブレンドして融合させればいいとか、ポピュラーソングで“愛してる、なぜ僕を悲しませるの?”じゃなくて、何百万もの若者にとって有益な素材を1つの曲、1つのサビに込めるとかを提案した。
その成果を何と呼べばいいのか分からなかったけど、
ジョージ・ハリスン(George Harrison)は“ドノヴァンは触媒だ”と言ったときに腑に落ちた。触媒は二つのものを結びつけて、まったく別のものを生み出すことができるからね」
「触媒」というテーマを続けて、ピンク・フロイドの
デヴィッド・ギルモア(David Gilmour)とのエピソードに入ります。
「彼が“君のコテージを買った”と言ったので、僕は“へえ?どうして僕のコテージを買ったの?”と尋ねた。すると彼は“君があの凄い曲を全部そこで書いたからさ”と言っていたよ。
(1966年アルバム)『Sunshine Superman』に収録されている曲の一つに“Three King Fishers”というのがあって、彼はこう言った。“あの曲を聴いたとき、僕が当時いたバンド(おそらくフロイドのことだろ)との未来、自分の進むべき方向が見えたんだ”。
それが触媒の効果ってやつさ。彼は僕のコテージを買った。彼は“もしかしたら、そこで起きたことすべてが僕にも影響を与えるかもしれない”と言っていた。触媒ってのは不思議な生き物だよ…人間という生き物…僕のことさ」
続けて、レッド・ツェッペリンの
ロバート・プラント(Robert Plant)とのエピソードに入ります。
「ある晩、ロバート・プラントが僕に言った。“君の1965年製の(イギリスの乗用車ブランド)アストンマーティンを買ったよ”。僕が“どうして?”と尋ねると、彼は“とても美しかったから。君はその車(の天井部分)にヘッドライニングを取り付けて、特注品にしていたよね”と言っていた。僕は“本当の理由は?”と尋ねると、彼は“たぶん君がその車の中で何曲か書いたからだよ”と言っていた」
ここまでで、ビートルズ、フロイド、ツェッペリンが登場しましたが、彼の話はまだ終わらず、話を10年ほど先に進めて、ハッピー・マンデーズとのエピソードに入ります。
「僕の2人の娘は、ハッピー・マンデーズのショーン&ポール・ライダーに夢中になったんだ。
ライヴの後、(彼のローディで、義理の息子である)ジュリアンが“マンチェスターから来た連中がバンで裏口に待ってる”と言った。“何の用だって?”と僕が聞くと、“君を捕まえてハシエンダに連れて行きたいんだって”。80年代の話だよ。“なぜ?”と僕が言うと“教えてくれないんだ”と言っていたので“また今度だな”と僕は言ったよ。
(最終的にマンデーズと一緒に過ごすことになり)
ショーン・ライダー(Shaun Ryder)がこう言うんだ。“君の曲Sunshine Supermanを盗んだ。だけど、ロイヤリティは払わないよ”。僕は“いいよ、メロディは持っていって構わない。本当に大丈夫さ。だって僕は触媒なんだから。なんで盗んだんだい?”と言った。彼は“9歳の時、俺とポールとバンド仲間でマンチェスター中を盗み回ってたんだよ”と言っていたよ。
(その少し後、バンドが彼のホテルの部屋を出ようとしていたとき、彼はベズがドライバーで部屋のドアノブを外そうとしているのに気づく。バンドの別のメンバーは壁から絵を外していた)
僕は言ったよ。“やめろ!それには手を出すな。トラブルに巻き込まれたくない”。(彼らは)“わかったよ”と言った。それからショーンが“お前の曲を盗んでごめん”と言った。僕は“いいよ、無料だから、どうぞ”と言った。
(妻の)リンダは、ハッピー・マンデーズは80年代のローリング・ストーンズだって言っていた。間違いないよ。彼らはただステージに立って“(俺たちを)見ろ”と言ったんだ」
そして「あなたにとって最大の功績は何ですか?」というシンプルな質問に対するドノヴァンの長い返答は、こう締めくくられています。
「僕の最大の功績は、みんなが僕のものを少しでも欲しがってくれること。それでいいんだ」