Chris Stein / Under A Rock
ブロンディ(Blondie)のギタリスト、
クリス・シュタイン(クリス・スタイン/Chris Stein)は新しい自伝『Under a Rock』にあわせた英ガーディアン紙の新しいインタビューの中で、若き日にジャン=ミシェル・バスキアから譲ってもらった絵のこと、
デヴィッド・ボウイ(David Bowie)が
デボラ・ハリー(Deborah Harry / Debbie Harry)を口説いたこと、ブロンディの新アルバムなどについて話しています。
1970年代後半、マンハッタンのダウンタウンで、シュタインは若いアーティストのジャン=ミシェル・バスキアと親しくなりました。シュタインは当時、ブロンディを結成しばかりで、10代のバスキアはキャンバスを買うお金もなく、壁や床、手の届くあらゆるものに落書きをしていました。
「彼のことはよく知っていたので“絵を描いてくれ”と声をかけたんだ。彼はそれまでダンボールに絵を描いていたので、キャンバスに描いたのはそれが初めてだったと思う。彼は僕がミリタリーに興味があることを知っていたので、小さな大砲を持って戦う軍人たちが描かれていた。かなりモノクロ調で、大きな麻布に描かれていた。荒いキャンバスで、額縁には張られておらず、そのままの状態だった。彼はそれを200ドルで譲ってくれた。その後、彼は200ドルでどれだけぼったくったか、みんなに話していたと後で聞いたよ」
数年後、バスキアが1988年に27歳で薬物の過剰摂取で亡くなる前、シュタインは資金不足に陥りました。彼はこの絵を1万ドルで、シュタインとバスキアがよく出入りしていたマッド・クラブの共同創設者でアート・キュレーターであるディエゴ・コルテスに売却しました。
バスキア絵画の最高落札価格は、2017年に1億1,050万ドルで落札された1982年の「無題」です。もしシュタインが手放さなかったら「もちろん、もちろん」と、現在74歳のシュタインは苦笑いを浮かべながら答え、「彼の作品をもっと手に入れておけばよかった。アンディ(ウォーホル)もそうだった。彼のマリリンとかエルヴィスとか、そういうのを全部買うこともできたけど、いつも見ていたから、“まあいいか”って感じだったんだよ」と話しています。
シュタインは80年代半ばまで10年以上にわたってブロンディのデボラ・ハリーと交際していました。
1977年、イギー・ポップが全米ツアーのオープニング・アクトをブロンディに依頼したとき、デヴィッド・ボウイがイギーのバンドでキーボードを担当しました。ある日、ボウイはハリーと二人きりになったとき、彼女にこう尋ねました。「セックスしてもいい?」。ハリーは真顔でこう言い返したという。「本当に、できるの?」。イギーも興味を示しましたが、ハリーは彼にも同じように断りました。
シュタインは気にしたのか? 「いやいや」と彼は言い、「デビーはその時、僕にそれについて話してくれたんだけど、それはなんというか......彼らは言わざるを得なかったんだと思うよ。イギーはツアーにガールフレンドを連れていたから、彼がどれだけ彼女に言い寄ったのかはわからない。だから、それについては彼女に聞かなければならないけど、ボウイは確かに口説いたよ」
シュタインによると、ブロンディは最近、新しいアルバムを完成させたという。今年中にリリースされる可能性があるそうで、「良い出来だよ。ちょっと実験的なところもある」と話しています。
シュタインは2023年末に、健康状態のためライヴ活動から引退を表明しています。
「50年経って、健康上の問題もあって、今は少し座りっぱなしの生活をしている。ホテルや飛行機での移動だけでも大変。それに心臓に問題を抱えているし、前立腺がんの治療も終わりに近づいているので、(ライヴは)もういいや、と思ったんだ。
キース(リチャーズ)のようにもっと飲むべきだったかもしれない。あの人たちがどうやっているのか、僕にはわからないけど、とにかくすごいよね」