The Beatles / Now And Then [Cassette]
ビートルズ(The Beatles) 最後の新曲「Now And Then」をポール・マッカートニーの共同プロデュースした
ジャイルズ・マーティン(Giles Martin) は、米Varietyのインタビューの中で、ストリングスを入れた理由、、「Now And Then」に参加したオーケストラにはビートルズの新曲であることを伝えていなかったこと、この曲にジョージのようなスライド・ギター・ソロを入れたこと、今回使用したテクノロジーは本当に必要なものだったのか?などについて話しています。
Q:あなたとポールがLAのキャピトル・スタジオで行ったオーケストラのスコアリング・セッションは、かなり前に行われたそうですね。秘密保持契約というものがありますが、今年の春にポール本人が初めて話すまで、あれだけの人数が関わっていて秘密を守ることができたのは驚きです。
「オーケストラは自分たちが何を演奏しているのか知らなかったんだ。これがビートルズのレコーディングだということも知らなかった。彼らは僕がポールと一緒にやっているプロジェクトだと思っていたんだと思う。(秘密が漏れるとか)当時はあまり考えていなかった。ストリングスのアレンジとか、プレーヤーが正しい演奏をするとか、そういうことを考えていた。彼らは情報を知らされていなかったから、隠すことは何もなかったんだ。ちょっとした知識は危険なものだからね」
Q:オーケストラ・パートといえば、ジョンのデモの究極的な拡張において、なぜオーケストラ・パートをやることが重要だと感じたのでしょうか?
「ポールが来て、彼が取り組んでいた曲を聴かせてくれたので、僕は“ストリングスを追加した方がいいかもしれない”と言った。彼は“そうだね、やってみようか、でもあまり陳腐なものにはしたくないんだ”と言っていた。それに、彼は僕らが他のビートルズがいないなかでコラボレーションすることに神経質になっていたんだと思う。ビートルズ抜きでどれだけのことができるか? 僕は彼に“何かやって、それをいつでも削除できるようにすればいいいじゃないかな?”と言った。その段階では、僕とポールだけだった。それからリンゴ、そしてショーン、ヨーコ、オリビアもいた。とても小さなネットワークだから、自由にいろいろなことを試すことができたんだ。
ストリングスに関しては、父親の真似をしたほうがいいと思った。実際にそうしたよ。父は素晴らしいストリングスのアレンジャーだった。父の真似をするなら、ビートルズの最後の曲でやったほうがいい。ポールが“それはやめよう、ちょっとやりすぎだよ”とか、“こうしてみよう”とか言うこともあった。父と一緒の時でも(ビートルズの)最初のストリングス曲“Yesterday”でも、ポールは、どう聴かせたいかについて、とてもとても強い考えを持っていた。ビートルズというバンドがそうであるように、ポールの考えは明らかに正しい。ストリングスを加えてよかった。基本的には、できるだけビートルズらしくしたかったんだ。これを聴いて“ああ、これはビートルズの曲だ”と思ってほしかったんだ」
Q:多くの人が聴いたことのあるジョンのデモでは、曲作りが完成しているとは思えなかった。最初は力強かったのに、途中で何かを失ってしまったようだった。総合的に見て、この曲を完成させたのはポールの仕事だったのですか?
「完全にポールの仕事。当然だよ。彼はこの曲を完成させたかったし、ジョンとのコラボレーションは、はっきり言って、史上最も成功したソングライティングのコラボレーションだ。...興味深いのは、ある人が“ポールはこの曲の中間部を書いていない”と言ったこと。ポールはジョージへのオマージュとしてギター・ソロを入れたんだ。ポールがわざわざミドル・セクションを書く意味はなかった。彼なら簡単に中間部を書くことはできたはずだろうけどね」
Q:90年代半ば、この曲に費やした時間は短かったです。ジョージの何かを使うことができるほど、ジョージの何かがそこにあったのですか?
「ジョージの何かというよりも、ジョージはこの曲でアコースティック・ギターとエレクトリック・ギターを弾いていた。本当に興味深かったのは、ストリングスを作ってからアレンジを進めていく過程で、ポールが僕に言ったことなんだ。聴いてもらったとおり、ストリングスはかなりリズミカルなんだけど、ポールは僕に“ジョージをよく聴いてくれ。僕に聴かせてくれ。ジョージがここに置こうとしているリズムに共感できるようにする必要があるんだ”と言った。それが彼の得意なことだったからね。それがポールから学んだことなんだ。彼がエレクトリック・ギターでリズムを刻んでいるときは、それを尊重しようとした」
Q:中間部の代わりに、究極のトリビュートとしてジョージのようなスライド・ギター・ソロを入れるというポールのアイデアは、あなたを驚かせたのでは?
「ソロのスタイルとしては、明らかにポールはジョージに敬意を表していると思う。でも、あのソロがあるのは、それが曲に合っているからであって、ジョージへのトリビュートを必要としているからではないと思う。そうでなければ、ちょっと陳腐になってしまう。そうではなくて、曲を高揚させているんだと思う。
ストリング・セクションのレコーディングはキャピトル・スタジオで行い、ポールと僕が長い間一緒に仕事をしてきたベン・フォスターという指揮者兼アレンジャーと仕事をした。かなり大きなストリング・セクションだった。ビートルズの通常よりもかなり大きなストリングス・セクションを起用した。
この曲の大部分では、すべてのストリングスを使わなかった。ビートルズというにはあまりにも上品に聴こえすぎたから。でも(スライド・ギターの)ソロ・セクションになると、その部分はフル・ストリングスのセクションに切り替えた。“Golden Slumbers”に似ていたので。曲の中でビートルズに言及するなら、ビートルズの曲でやればいい。でも、ビートルズ自身は--父がいつも言っていたんだけど--同じことをしたがらなかった。彼らは、自分たちの作品の中で自分たちのことを言及することを好まなかったんだ」
Q:話題になっているテクノロジーに関して言えば、ピーター・ジャクソンが開発したテクノロジーは、最終的にこれを実現するために本当に必要なものだったのでしょうか?もっと早く実現する方法があったのでしょうか?
「僕はそうは思わない。このようなプロジェクトでは、ジョンがジョンであることがとても重要なんだ。曲自体もジョンが歌っているように聴こえるし、ジョンが歌うことで、ビートルズらしい、いいサウンドを作ることができる......だから、ジョージは何年も前に彼らがそれをやっていたとき、(否定的に)反応したんだと思う。彼がこの曲を気に入らなかったからではない、いい曲だったからね。正直なところ、適切な素材がなければならないし、テクノロジーがなければ適切な素材は手に入らなかっただろうね」
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