ビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)『Pet Sounds』のドルビーアトモス・ミックスを手掛けた
ジャイルズ・マーティン(Giles Martin)。父親の
ジョージ・マーティン(George Martin)から『Pet Sounds』について言われていたこと、そして『Pet Sounds』がビートルズ『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』への道を切り開いた言われている理由について、サイトVarietyの新しいインタビューの中で話しています。
Q:ビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』と
ビートルズ(The Beatles)『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』のアトモス・ミックスをする機会がありましたね。この2枚のアルバムの違いについて、昔、お父さんが言っていたことが頭に残っているんですよね?
「父に“ビートルズと一緒にやったことはすごいことだよ”と言ったら、“ブライアン・ウィルソンがやったことほどすごいことじゃない。ビートルズには私がいて、私にはビートルズがいた”。父はビートルズのためにアレンジをし、スタジオでは彼らの耳となっていた。でも、基本的にブライアンには他に誰もいなかった。ブライアンには他のバンドメンバーもいたけれど、同じ程度ではなかった。父は“『Pet Sounds』を聴いて、ブライアン・ウィルソンがやったことを聴くべきだ”と言っていた。プロデューサーなしで仕事をして、素晴らしいセッションをしていたからね」
Q:人々はこの2枚のアルバムを同列に語り、『Pet Sounds』がいかにビートルズに影響を与えたかを語りますが、あなたは『Pet Sounds』自体はサイケデリックではないと指摘しています。特にアトモスでは、シンフォニックなクラシックのアルバムを聴いているような気分になります。
「ええ、僕もそう思っていました。1966年当時、珍しいものや挑戦的なものはすべてサイケデリックだったと思う。でも、本質的にはサイケデリックなアルバムではない。収録されているサウンドは珍しいものではない。変わっているのは、その組み合わせ方。ミキシングはよく料理に例えられる。要するに『Pet Sounds』は、ブライアン・ウィルソンの思考プロセスとアレンジの技術、そして天才的な才能のおかげで、ポップ・レコードとしては普通ではない普通の素材が見事にブレンドされているんだ。“どんな楽器を使おうが関係ない。この楽器でレコードを作るのではなく、レコードを作る楽器を使おう”。『Pepper』への道を切り開いたと言われるのはそういうところなんだ。他のみんなに行く許可を与えたんだよ。“Being for the Benefit of Mr. Kite”を例にとると、ジョン(レノン)がベースハーモニカを吹いている。これはある意味、とても『Pet Sounds』的な楽器なんだ。つまり、僕の言っていることはそういうことなんだよ」