デヴィッド・クロスビー(David Crosby)は、亡くなる直前まで新しいアルバムに取り組み、再びツアーを行う予定だったという。クロスビーと最期に仕事をしたミュージシャンが米Varietyのインタビューの中で明らかにしています。
ザ・バーズ(The Byrds)や
クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング(Crosby, Stills, Nash and Young)での活躍でも知られるクロスビーは先日、81歳で亡くなりました。
クロスビーは晩年、病気で寝たきりになっていたというわけではなく、最後まで活動的だったそうで、クロスビーと一緒に新曲を制作していたギタリストのスティーヴ・ポステルは、クロスビーが亡くなった日に彼と電話で話をし、その前の週には一緒に新しいツアーのためにリハーサルをしたという。目まぐるしく活動していたと見えたので、彼の死はショックだったとポステルはVarietyに語っています。
ポステルはさらにこう話しています。
「デヴィッドは自分がこの後、何年も生きるとは思っていなかったので、いつも冗談を言っていた。でも、このライヴやツアーができないという感覚はなかった。ツアーバスやどのような会場でやるかを話し合っていたし、ロードマネージャーやツアーマネージャー、サウンドマンといったチーム全員が、僕らが組んだこのバンドのために再び集結した。世界に打って出る準備ができていないなんていう雰囲気は微塵もなかった。それをみんなに聴いてもらえなかったのは残念だ。
彼は“この歌詞はどうだ”とか、新曲を見せてくれたりした。彼はまだ燃えていた。彼がその気になっていたことをみんなに知ってもらいたい。彼は曲を書き、演奏し、一生懸命に歌い、素晴らしいライヴを準備していた。それが彼のやっていたことだ。彼は2年間、ベッドに横たわって気を失っていたわけではない。そんなことは全然なかった」
クロスビーの妻は声明でクロスビーは 「長い闘病生活の末に亡くなった」と発表しましたが、クロスビーの新しいアルバム (名前は明かされていない) に取り組んでいたポステル、そしてもう一人のミュージシャン、サラ・ジャローズは、いずれもクロスビーの死は突然に感じられたと述べています。
ポステルは「彼は様々な持病で弱っていて、誰もがそれを知っていた...だけど、彼は死んでいなかった。僕たちはリハーサルをしていたし、夕食に出かけたりもしたんだ」
ジャローズも長い闘病生活を知らなかったという。「彼と電話で話すたびに、私が“調子はどう?”と聞くと、彼は“死にそうだよ”と言っていた、でも、冗談っぽく笑ってね...。亡くなったのはショックだった」
ジャローズによると、まだリリースされていない彼らの曲「Talk Till Dawn」は、「本当に驚くほど美しい」という。彼女は「彼の声はどんどん良くなっているような気がする。時間が経つにつれて、声には豊かさが出てきて、あの曲でも彼のヴォーカルには若さと精神と誠実さがある」と付け加えています。
クロスビーは人生最後の10年間に5枚のスタジオ・アルバムをリリースし、最後のアルバム『For Free』は2021年7月にリリースしました。2022年のインタビューでクロスビーは、こう話していました。
「僕は80歳だから、もうすぐ死ぬ。そういうものなんだ。だから、曲が本当に良いものである限り、できるだけ多くの音楽を作り出そうと懸命に努力している...すでにもう1枚、待機しているよ」
クロスビーは2022年、年齢を理由にツアーから引退したことを発表しましたが、12月に「気が変わった」とツイートしていました。ポステルがVarietyに語ったところによる、クロスビーは次のツアーではポステルにギターを弾かせて、自分は歌に集中することにしたという。
ポステルは「彼の手はだんだん、皆がそうであるように、関節炎になり、演奏するのが難しくなってきていた。ギターを弾かないことは、ライヴをやる上で、まったく障害にはならなかった。実際のところ、そのことが彼を解放した。彼はただ歌うことができた。彼は素晴らしい歌声を聴かせてくれたよ」