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細野晴臣との対談も デイヴィッド・トゥープによる特別講演が東京で開催決定

2017/04/07 12:42掲載
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David TOOP
David TOOP
イギリスの音楽家/ライターのデイヴィッド・トゥープによる特別講演「聴取に基づく実践の境界」が4月14日(金)に東京芸術大学大学美術館陳列館で開催。トゥープと親交の深い細野晴臣との対談なども予定。入場は無料。

以下、インフォメーションより

<特別講演 デイヴィッド・トゥープ 「聴取にもとづく実践の境界」>

トゥープ氏は、1960年代後半以降、作曲家/ミュージシャン、作家、キュレーターとしてロンドンを拠点に活動してきました。とくにマックス・イーストレーやブライアン・イーノら多くのミュージシャンと共演し、1970年代のアンビエント音楽や環境音楽、実験音楽のシーンで重要な役割を果たす一方、実験的ポップバンド、フライング・リザーズに参加するなど、その活動はサウンド・アート、実験音楽、環境音楽、ポピュラー音楽など多岐にわたります。また批評家として、『ラップアタック:ニューヨークヒップホップへのアフリカンジャイブ』(1984)や『音の海?エーテルトーク、アンビエント・サウンド、イマジナリー・ワールド』(1995)、『エキゾティカ:現実世界に構成されたサウンドスケープ』(1999)などの著作を通じて、音楽という領域を大胆に再編し、大きな影響を与えてきました。現在、ロンドン芸術大学ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーションの聴覚芸術・即興音楽の教授でもあります。
今回の企画では、トゥープ氏の特別講演「聴取にもとづく実践の限界」に加え、金子智太郎氏によるトゥープの仕事のイントロダクション、トゥープ氏と親交の深い細野晴臣氏との対談(司会は、本学教員毛利嘉孝)、トゥープ氏、サウンド・アーティストのラヘル・クラフト氏と本講演企画者の北條知子によるパフォーマンスを行います。トゥープ氏の多岐にわたる活動に触れる貴重な機会ですので、ぜひご参加ください。

日時:2017年4月14日(金)17:30開場、18:00スタート
場所:東京藝術大学大学美術館陳列館 (東京都台東区上野公園12-8)
料金:入場無料。事前予約不要、定員は当日先着100名。
日英通訳有り

タイムテーブル:
18:00-18:15 イントロダクション 金子智太郎 (日本語のみ)
18:20-19:20 講演 「聴取にもとづく実践の境界」 デイヴィッド・トゥープ
19:30-20:00 対談 デイヴィッド・トゥープ & 細野晴臣 (司会:毛利嘉孝)
20:10-20:30 パフォーマンス デイヴィッド・トゥープ & ラヘル・クラフト & 北條知子

詳細は以下のURLのページでご覧になれます。
http://ga.geidai.ac.jp/2017/04/06/david-toop/

「聴取にもとづく実践の境界」デイヴィッド・トゥープ

ウィリアム・デイヴィスは『幸福産業』において、「客観的で心理的な尺度のもとに組織された社会的においては、聴くという力は潜在的に偶像破壊的な力である」「視覚を中心にデザインされた政治システムにおいて、耳の感覚に特権を与えることはラディカルである」と述べている。
他者、そして世界を聴くことは、ひとつの出発点だが、聴くという観点から、どのように組織し、働きかけ、協働することができるのか? 聴くことは必然的に音声情報を聞くという行為だろうか? あるいは、それをある種の受信や注意、そしてひとつの経路であると考えるほうが生産的ではないのか? この経路を通じて、出来事を構造化する厳格な権威主義の形式を打ち破ることができるのではないか?
音は奇妙で難しい媒体だ。それは物質なのか? 出来事なのか? 物理的な空間でどのように機能するのか? それは存在しているのか? あるいは聴くという行為は心の中でのみ起こっているのか? 沈黙は内に含むもっともささやかな行為でさえも膨張させる。受動的に固定されているように見える耳は外に向かって動き、音を収集する。音の広がりは反転し、受信されるものとなる。これらの逆転はすべて、演習である。どのように実践の境界を越えて移動するのか? 協働するのか? 即興演奏をするのか? 演奏することなく演奏するのか? そして、音のない儀式として聴取するのか?
ミュージシャン、ライター、キュレーター、理論家として活動してきたデイヴィッド・トゥープ。その自らの実践を踏まえて、本講演では音と聴取に関する奇妙な問いかけをすることになる。音は椅子に腰掛けているのか? 楽器には身体があるのか?そして、我々は聴くことなく聴くことができるのか?


☆デイヴィッド・トゥープ David TOOP:
デイヴィッド・トゥープは、1960年代後半以降、サウンド・アートや音楽の多くの分野で活動しているロンドンに拠点を置く作曲家/ミュージシャン、作家、キュレーター。アマゾナスにヤノマミ・シャーマニズムを記録し、フライング・リザーズと一緒に「トップ・オブ・ザ・ポップス」に登場し、東京、北京、ロンドンのナショナル・ギャラリーに音響インスタレーションを展示し、ジョン・ゾーン、デレク・ベイリー、エヴァン・パーカー、ボブ・コビング、サイモン・フィン、カミーユ・ノーメント、マックス・イーストレイらと仕事をしている。また、『Rap Attack』、『Ocean of Sound』、『Haunted Weather』、『Sinister Resonance』など10カ国語に翻訳された6冊の本を出版しており、2016年には『Maelstrom』(ペンデリン音楽書賞選出作)を上梓した。1975年にブライアン・イーノの「オブスキュア・レーベル」からリリースされた最初のアルバム以来、『Screen Ceremonies』、『Black Chamber』、『Sound Body』、『Entities Inertias Faint Beings』などの12枚のソロアルバムをリリースしているほか、オルタネーションズ(ピーター・キューザック、スティーヴ・ベレスフォード、テリー・デイ)やサーストン・ムーア、タニア・チェン・そしてケン・イケダなどの即興音楽家やアーティストと数多くのコラボレーションをおこなっている。
彼が企画した展覧会には、ヘイワード美術館での「Sonic Boom」展、ブリストルのアルノルフィーニでの「Playing John Cage」展、フラットタイムハウスでの「Blow Up」展などがある。彼のオペラ《Star-shaped Biscuit》は2012年にオルドバーグ・ファスター・ザン・サウンド・プロジェクトとして演奏され、共同制作作品《Who will go mad with me》は2013年にハダースフィールド現代音楽祭でアラスデア・ロバーツ、シルビア・ハレット、ルーク・ファウラーとともに演奏された。
トゥープは、ロンドン芸術大学ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーションのオーディオ・カルチャーと即興演奏の教授であり、アーティストの中島吏英との《Sculpture》イベントの共同制作者でもある。近刊の自叙伝『フラッター・エコー』が2017年に日本で出版予定。