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マイケル・ジャクソン「Beat It」制作中 エディ・ヴァン・ヘイレンのギターソロがあまりにも熱すぎてスピーカーが火を噴いた…伝説の真実を現場にいた人物が語る

2026/03/11 17:13掲載
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Michael Jackson - Beat It (Official 4K Video)
Michael Jackson - Beat It (Official 4K Video)
マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)「Beat It」のレコーディング中、エディ・ヴァン・ヘイレン(Eddie Van Halen)のギターソロがあまりにも“熱すぎて”スピーカーが火を噴いた…という伝説は真実なのか? その「燃えるスピーカー」騒動が起きたとされるとき、実際にその建物内にいた、マイケルを支えたレコーディング・エンジニア、マット・フォージャーが『Anthony Marinelli Music』の新しいインタビューの中で、実際に起きたことを語っています。

残念なお知らせで申し訳ありませんが、この騒動は都市伝説で真実ではありません。しかし、この話には元になった出来事がありました。

「Beat It」の制作は、ロサンゼルスのウェストレイク・スタジオで行われ、フォージャーは、エンジニアのブルース・スウェーデンと共にアルバム『Thriller』の制作に携わりました。フォージャーは後に、マイケル・ジャクソンの専属レコーディングエンジニアとなった人物です。

プロデューサーのクインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)は自伝『Q: The Autobiography of Quincy Jones』(2001年)の中で、「燃えるスピーカー」騒動が起きたのはレコーディングの最中ではなく、ミキシング作業の段階だったと書いていました。

ジョーンズは「音楽が“熱い”ことは分かっていた。“Beat It”ではレベルがあまりにも熱すぎて、ある時スタジオでブルース・スウェーデンに呼ばれて行ってみたら、右側のスピーカーが炎を上げていた。この業界に40年間いるが、あんなものは見たことがなかったよ」と書いていました。

フォージャーも、これが起きたこと自体は否定しませんが、ただ彼の記憶では、煙が上がる事態の原因はレベルではなく、電気系統の問題だったという。

さらに、厳密に言うと、その出来事が実際に起きたのはミックス作業の最中ではなく、プリミックスの段階だったとも彼は説明しています。つまり、スウェーデンが最終ミックスに向けてバッキング・ヴォーカルなどの要素を準備していた時だと彼は述べています。

「作業をしていたある時、アンプの一つが、何らかの理由で故障したんです。電源系だったのか、フィルター用コンデンサーだったのか、私にも分かりません。とにかくアンプの中で何かが壊れてしまい、その結果、とてつもない電力サージが右側のウェストレイク・スピーカーに流してしまったんです。

通常、スピーカーには、スピーカーコーンは実際に前後に動くから、交流電流が流れています。でも直流が流れると、それは巨大な電力サージになります。それにより、ボイスコイル――永久磁石の中でスピーカーを動かす部品――が必要以上に熱くなってしまったんです。過熱して、トースターやオーブントースターの発熱体のように赤く光ったんです」

実際の炎は出たのでしょうか?

「(スピーカーコーンは耐火素材で作られていたため)赤く光って、すごい量の煙を吐き出しました。ジェットエンジンの炎みたいに巨大な火が吹き出すようなことにはならなかった。むしろ、くすぶる炭みたいにじわじわ燻って、とんでもなくひどい臭いが出た。あの酸っぱい感じの、電子機器が焼ける独特の臭い。まるでトースターみたいに光っていたんです。真っ赤にね。まあ、それはスピーカーが燃えてるって言えなくもないよね(笑)」

フォージャーはまた、問題が起きたときにスピーカーから「Beat It」が流れていたことも認めています。ただし、それが曲のどの部分だったのかまでは分からないそうです。

「必ずしもエディのギター・ソロだったとは限らない。あの出来事が起きたとき、彼らは曲全体の作業をしていたからね。でも、もちろん……そうだった可能性もあります」

この出来事が起きたとき、彼もクインシー・ジョーンズも実はウェストレイクの別のスタジオにいたという。そこへブルース・スウェーデンがドアから顔を出し、「スピーカーに火がついちゃった」と知らせに来たことで、初めてこの騒ぎを知ったという。

「それで、みんなが“何事だ?”って感じで見に駆けつけたんだ。アシスタント・エンジニアが慎重に消火器を取り出して、炎がないこと、何も燃え移っていないこと、損傷がないことを確認していた。けれど、臭いがとにかくひどかった」

そのときは誰も、40年以上たった今でも“燃えたスピーカー”の話をしているとは想像していなかったでしょうが、『Thriller』の制作に参加していたソングライターのロッド・テンパートンは当時、こう話していたという。

「ロッド・テンパートンは――マールボロをふかして、タバコ片手に――いかにも英国的なドライなユーモアでこう言ったんです。“この曲、よっぽど熱いんだな。スピーカーに火がつくくらいだから”ってね(笑)」