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デヴィッド・ボウイはギタリストに何を求めていたのか?盟友トニー・ヴィスコンティ語る、『Heathen』にD.グロールとP.タウンゼントが参加した経緯も

2026/03/06 18:05掲載
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David Bowie
David Bowie
デヴィッド・ボウイ(David Bowie)はギタリストに何を求めていたのか? 盟友プロデューサーのトニー・ヴィスコンティ(Tony Visconti)はSPINの新しいインタビューの中で自身の考えを語っています。またアルバム『Heathen』にデイヴ・グロール(Dave Grohl)ピート・タウンゼント(Pete Townshend)が参加することになった経緯、ラスト・アルバム『★』に起用したジャズミュージシャンたちのことをボウイはどう思っていたのか?についても語っています。

Q:ミック・ロンソンの頃から議論されてきたことですが、ボウイはギタリストに何を求めていたのでしょうか? 

「おそらく彼にとっては、彼らは“フレーバー”のようなものだったのだろう。各ギタリストが持つ特別な才能を、彼は明確に理解していた。たとえば、デヴィッド・トーンのことを気に入っていたのは、彼がとにかく常識の外側にいるようなプレイをするからだと思う。スリッキー(アール・スリック)のことを気に入っていたのは、ギターをケースから出した瞬間にシュレッド(速弾き)できるようなプレイヤーだったから。私も彼の音色が大好きだった。デヴィッドがミック・ロンソンと組んでいた時、彼はライヴでの完璧な相棒を見つけた。だがミックがソロ活動を始め、自分自身の曲を作るようになると、デヴィッドはそれをあまり好まなかったんだ」

Q:デイヴ・グロールとピート・タウンゼントはどういう経緯で『Heathen』に参加することになったのですか?

「グロールの話はちょっと面白いよ。彼はカリフォルニアからリモートでアコースティック・ギターを弾いて、そのファイルを送ってくれた。ドラムのほうがよかったんだろうけど、それは実現しなかったんだ。その後、彼はデヴィッドに1万ドルの請求書を送ってきた。確かに当時の彼は絶頂期だったけど、さすがにそれは法外だと思ったよ。実際にデヴィッドがそれを払ったのかどうかは知らないけど。

タウンゼントのほうは、僕らがフィリップ・グラスのスタジオ(ルッキング・グラス)でレコーディングしていたときに、ふらっと訪ねてきたんだ。二人はしばらく長く話し込んでいて、昔からの友人同士らしい打ち解けた雰囲気が見てとれた。デヴィッドが彼に演奏を頼むと、彼は弾いてくれたけど、僕らがもう少しアグレッシブに弾いてほしいとお願いしたら、“ああ、つまりタウンゼントのウィンドミル・コードってこと?”と言ってね。結果はワンテイクで完璧だったよ。演奏が終わったあと、彼の右手の指2本からは血が出ていた」

Q:あなたとボウイは最後のアルバム『★』を作るためのチームを探すため、ニューヨークの55バーに通うようになったそうですね。彼は、起用した若いフリー・ジャズ系のミュージシャンたちをどう思っていましたか?

「マリア・シュナイダーは、彼女のセッションでサックスを吹いていたダニー・マッキャスリンのカルテットを観に行くよう勧めてくれた。ライヴを観に行くと圧倒されたよ。彼らは素晴らしいジャズ・ミュージシャンで、現代的かつメロディックだった。デヴィッドはバンド全体をとても気に入っていた。最終的にスタジオで『★』の制作が始まると、その結果は本当に素晴らしいものになった。

デヴィッドのロック系ミュージシャンたちも、きっとそこそこ良いジャズを演奏できたと思う。でもダニーのバンドは、頼まれればロックも演奏できるジャズ・ミュージシャンだった。

レコーディング初日は、どこか現実離れした雰囲気だった。各マイクの音を整えたあと、デヴィッドは自分のマイクを持ってスタジオの中央に立った。ダニーは隔離ブースにいて、ほかのミュージシャンたちはオープンスペースに配置されていた。皮肉なことに、演奏が始まってもデヴィッドのマイクにはほとんど音のかぶりがなかった。ジャズ・ミュージシャンはアンプの音量を最大音量まで上げないし、マーク・ジュリアナは静かなタイプのドラマーだった。ベースアンプには毛布がかけられ、ジェイソン・リンドナーのウーリッツァー・エレクトリック・ピアノはレコーディング・コンソールに直接ライン接続されていた。テイク1が終わると、バンドは静かに立ち尽くし、ダニーが“次はどの曲?”と尋ねた。つまり、あの演奏は“ワンテイク”だったんだよ! デヴィッドはそれをとても気に入っていた」