10ccの
グレアム・グールドマン(Graham Gouldman)はMusicRadarの新しいインタビューの中で、ビートルズからの大きな影響、10ccの曲作り、ビーチ・ボーイズから拝借したもの、「I'm Not In Love」のオリジナル・ヴァージョンがもうないこと、本当に良い曲、ソングライティングはギフトだということ、AIについて語っています。
Q:ストロベリー・スタジオは「Strawberry Fields Forever」にちなんで名付けられたんですよね。ビートルズは大きな影響を与えたのでしょうか?
「もちろんだよ。彼らがいなければ、今こうしてあなたと話していないと思う。どれだけ重要だったか、どれだけインスピレーションを与えてくれたか、どれだけ“自分もああなりたい。やるんだ”って思わせてくれたか、強調しきれないよ。
幸運にも才能と、そしておそらく情熱も持ていた僕たちにとって、ビートルズは本当に大きなインスピレーションだった。今でもそうだよ。彼らは基準を打ち立てた。特に僕にとってはソングライティングだね。どのアルバムを聴いても“なんだこれは!?”って思ってしまう。あの時代をリアルタイムで体験できたのは本当に幸運だったと思うよ。
ポールは弟のマイク・マクギアと一緒に(ストロベリー・スタジオで)アルバムをレコーディングした。僕らは昼間に10ccの『Sheet Music』をレコーディングしていて、彼はその日の遅い時間や夕方早めにやって来ていた。毎日ポールがスタジオに来るなんて、本当に最高だったし、かなり一緒に過ごせたしね。スタジオは僕らの機材と彼の機材でぎっしり詰まっていた。最高の時間だったよ。
(後に)リンゴ(スター)とは何度かツアーをして、本当に楽しかった。かなり現実離れした体験だったよ」
Q:10ccの楽曲は本当に多様で、アルバム全体だけでなく、一つの曲の中ですら、キーや雰囲気、ムードが何度も変化します。皆さんにとって本当にクリエイティブな時期だったのではないでしょうか?
「僕らは、他のみんながやっていることをやりたくなかった。少なくともある時期までは、僕らの間には本当に素晴らしいケミストリーがあって、それがうまく機能していた。“心配しない”という、僕らなりの哲学があった。スタジオでの自由度が高くて、時間にも縛られていなかったことが大きかったと思う。ただ自分たちのやりたいことをやれたんだ。
メンバーそれぞれがさまざまな影響を持ち寄ったし、ビートルズとかスティーリー・ダンとか、共通の影響もあった。ビーチ・ボーイズにも、とても影響を受けた。ハーモニーやメロディの構造、とりわけ僕はブライアン・ウィルソンがコードに対して、あえて“あり得ない”ベース音を使うやり方が大好きでね。正直に言うと、ええと……一度や二度は“拝借”させてもらったよ。
僕らは自分たちが素晴らしいと思えないものはリリースしなかった。気に入らないものは全部消去したんだ。だから実は“I'm Not In Love”のオリジナル・ヴァージョンも存在していたんだけど、僕らはそれを嫌ってね。今にして思えば、惜しいことをしたよ。コレクターズアイテムとしては最高だったろうからね!」
Q:曲の書き方は、年月を経て変わりましたか?
「歌詞の面では変わった。今では書けない、あるいは書きたくないテーマもある。僕はそれなりの年齢になった、幸せな既婚者で家族もいる。だから“部屋の向こうで僕に色目を使ってるあの子”みたいなことを書くのは、さすがにちょっと変だよね。
より個人的なことを書くようにもなったと思う。妻との関係で言えば、彼女が初めての“ミューズ”なんだ。(妻の)アリエラにインスパイアされて書いた曲がかなりあって、それはとても素敵なことだよ。
題材は確かに変わったけど、音楽的な頭脳のほうは、いまだに完璧な一曲を探し求めている19歳のままだね」
Q:本当に良い曲とは、どんな曲だと思いますか?
「完成させたいと思わせる“何か”がないといけない。自分が好きだと感じられて、心に響くこと。まずは自分自身とつながらないといけない。書いていて“これは本当にいい”と思えたとき、聴く人にも同じように感じてほしい。それがいつも目指していることだね。聴いた人の心に届いて“まさに自分がうまく言葉にできなかったことを、代わりに表現してくれた”と言ってくれるような曲だね」
Q:早く書き上げた曲のほうが良い曲になることが多いですか? それとも、じっくり取り組んで仕上げることもありますか?
「僕の場合、10ccであれ、ソロであれ、あるいはアンドリュー・ゴールド(Wax)との仕事であれ、関わってきたベストな曲はだいたい早かった。まるで、潜在意識のどこかにすでに存在しているものにアクセスして、それがスッと出てくる感じ。自分が曲を作っているというより、曲を追いかけている、導かれているような感覚だね。
僕はよく共作をするんだけど、相手が何か弾いた瞬間に、次に来るフレーズがすぐ頭の中で鳴っていることが多い。それはちょっとした謎で、正直どうやって起きているのかは知りたくもない! だからいつも言うんだよ。ソングライティングは賢さでできるものじゃない。あれはギフトなんだと。持っているか、いないか。それは教えられるものじゃないんだ」
Q:いま音楽の世界ではAIについて多く語られています。そのことについて何か考えはありますか?
「僕は使ったことはない。自分の頭に頼りたい。もし使うとしたら、曲作りで行き詰まったときに“この曲に合うブリッジのアイデアを出してくれ”と頼むくらいかな。カントリー&ウェスタンで1位になったAIの曲は聴いたよ。変だと思ったのはヴォーカル。まったく息継ぎをしないんだ! 音楽に関して言えば、Spotifyが毎日のようにAIトラックで溢れている現状は本当に心配だね。ソングライターや、本物の才能を持った人たちの仕事を奪ってしまうのでは? それに、その音楽だって、僕や何百万人ものソングライターやアーティストがいなければ存在しなかったはずでしょう。
ひとつだけ変わらないものがあるという意味では、僕らは幸運だ。それはライヴ音楽。ABBA Voyageショーはかなり近づいているとはいえね。それでも人は、何かが起こり得る“場”にいたいんだ。たとえミスや失敗が起きても、それをジョークに変えられるようなね。
演奏しながら観客の顔を見て、特定の曲でどんな表情をしているかを感じ取れるのは、本当に特権だよ。失った恋を思い出しているのかもしれないし、その曲がきっかけで始まった関係を思い、喜びで涙しているのかもしれない。ライヴ体験に勝るものはないよ。人々をつなぎ、喜びを生み出すんだ」