デヴィッド・ボウイ(David Bowie)が亡くなって10年。英ガーディアン紙は「ボウイの音楽的レガシーは忘れ去られつつあるのか?」という特集を掲載。同紙は、ボウイの存在感は今もなお大きいものの、新しい若いオーディエンスを獲得するのに苦戦していると指摘。「同世代のアーティストより低いストリーミング数を考えれば、彼の音楽を新たに発見するリスナーはどれほどいるのだろうか?」と危惧しています。
米フォーブス誌は毎年、故人となった有名人の資産ランキングを発表していますが、プリンス、ジョン・レノン、エルヴィス・プレスリー、ボブ・マーリー、マイケル・ジャクソンとは異なり、ボウイはこのランキングの常連とはなっていないと同紙は指摘しています。
またストリーミングでもボウイは彼の地位にふさわしい水準に達していないと主張。ボウイは現在、Spotifyでの月間リスナー数は2200万人で、ボブ・マーリーの2600万人、ホイットニー・ヒューストンの3400万人、エルヴィス・プレスリーの4500万人、ジョン・レノンの4300万人を下回っています。
ボウイの楽曲でSpotifyの「10億再生クラブ」入りを果たしているのは「Under Pressure」のみ。これはクイーンの参加が要因と考えられ、特にクイーンは他に7曲で10億回超の再生数を記録しています。
またボウイの「Heroes」が人気ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン5の最終話で使われてストリーミング再生数は約500%急増したものの、結果は34位にチャートイン。対照的に、2022年に同シリーズで使用されたケイト・ブッシュの「Running Up That Hill」は即座にトップ10入りしました。またTikTokでの使用回数も現時点で3.8万件にとどまっており、バイラルと呼べる数字ではありません。
それはなぜか? 同紙はその一因として、ボウイのエステート(遺産管理団体)が新しい若いオーディエンスを獲得するのに苦戦していることが考えられると主張しています。
ボウイはInstagramに300万人のフォロワーを擁し、特に若年層ファンが集まるTikTokでも65万6千人のフォロワーを有しているものの、エステートの焦点は『Who Can I Be Now? (1974-1976)』や『I Can’t Give Everything Away (2002-2016)』といった高価なボックスセット、そして数多くのライヴアルバム(死後だけで13枚)へと大きく偏っています。この戦略は裕福な中年層のファンには有効ですが、将来のボウイ・マニアとなる可能性のある10代にとっては価格的にも関心領域的にも外れている、と指摘し、彼のレガシーを継承する上で不可欠な若いリスナー層にとって魅力的な入り口はほとんど存在しないと主張しています。
同紙は、ボウイのエステートは「量より質を重視」し、またTikTokやSpotifyでバズることを追いかける短期的な「アルゴリズム的レガシー」ではなく、長期的なレガシーに焦点を当てているかもしれないと指摘しています。この「量より質」の方針は本当に正しいのか?同紙は疑問を呈しています。