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ギーザー・バトラー オジー追悼文寄稿「彼はバイクを盗んで乗り回した。真夜中に警察から電話で“拘留中だ。誰か保釈に来い”。俺らは“一晩中入れておけ”」

2025/12/04 17:40掲載
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Black Sabbath
Black Sabbath
オジー・オズボーン(Ozzy Osbourne)の誕生日12月3日にあわせ、ブラック・サバス(Black Sabbath)ギーザー・バトラー(Geezer Butler)が追悼文を英Uncut誌に寄稿しています。

「バンドメンバーは全員バーミンガムのアストン出身で、兄弟以上の絆で結ばれていた。持っているものは何でも共有し、それは70年代を通してずっと変わらなかった。誰もこんな成功を予想しておらず、特に金銭面ではどう対処すべきか全く分からなかった。マスコミは我々を嫌ったが、ファンは愛してくれた。それがバンドメンバー同士、そしてファンとの絆を一層強固にしたんだ。

オジーは究極のエンターテイナーで、最高のフロントマンの一人、いやもしかすると史上最高だったのかもしれない。彼はファンを熱狂させる術を知り尽くしていた。歌手としての技量も見事で、彼のヴォーカル・ラインやメロディにはいつも驚かされた。サバスのリフにメロディを乗せるのは決して簡単じゃないが、彼はその方法を完璧に理解していた。彼は、まるで自分の魂と心から湧き出たもののように、俺の歌詞を解釈してくれた。彼がどう解釈するのか聴くたびに、いつも驚かされたよ。

彼と一緒に仕事をするのは本当に最高だった。いつも俺らを笑わせてくれて――ステージ上でも、客席からは見えないところでトニーや俺に変顔をしたりしていた。俺らが重厚で陰鬱なリフを弾いている最中にも、彼はなんとかして俺らを笑わせようとしていた。狂気の瞬間はたくさんあった。例えばマイアミでレコーディングしていたとき、誰かのバイクを盗んで勝手に乗り回したこともあった。真夜中に警察から電話がかかってきて、“オズボーンという男が拘留中です。誰か保釈に来てください”と言われたけど、俺らは“いや、一晩中入れておけ”って答えた。幸い、バイクの持ち主は訴えなかった。

彼がソロに転じてからは、サバスという枠の縛りがなくなった。自らボスとなったから、その時期が一番ワイルドだった。アラモの件だったり、コウモリに噛みついたり、ハトの頭を噛んだり、アリを吸い込んだり……完全に解き放たれた彼は、あっという間に“ワイルド・マン”の評判を確立した――そしてファンはそれを愛したんだ。

最後の公演では、彼はこれまでに見たことがないほど静かだった。今振り返ると、彼は自分にあまり時間が残されていないことをわかっていたのだと思う。でも、こんなに早く逝くとは思っていなかったのだろう。彼はイギリスに戻って過ごす日々を楽しみにしていた。オリジナルの4人で、故郷で最後にもう一度だけ一緒に演奏できたことに本当に感謝している。彼はあの公演をやり遂げるために踏ん張って、ファンに別れを告げたんだ。とても感情的になっていた。ここ6、7年は病気のためにツアーができなかったから、彼にとって別れを告げることは本当に重要だった。彼は最後にもう一度だけファンに会いたかったし、自分のバンド、そしてサバスとも最後に演奏したいと望んでいたんだ。

音楽界のあらゆる分野から寄せられた追悼と敬意、そしてファンからの愛は本当に驚くべきものだった。彼はまさに伝説的存在で、そのレガシーは永遠に生き続けるだろう。彼は“闇の王子”だったかもしれないが、俺にとっては彼は家族を愛し、優しい心の持ち主であり、誰もが望む最高の親友だった」