
Eric Clapton & George Harrison - October 1968
ビートルズ(The Beatles)「While My Guitar Gently Weeps」のギターソロはクレジットには記載されていませんが、
エリック・クラプトン(Eric Clapton)が弾いています。ビートルズの主要エンジニアの1人であるケン・スコットはソロ録音時のことを全く覚えていないそうですが、「このソロがどのように生み出されたのか?」という100万ドルの質問に答えるために、セッションの記憶を呼び戻そうと実際に催眠療法を試したことがあったという。リック・ベアトの新しいインタビューの中で、「While My Guitar Gently Weeps」のソロ演奏について振り返っています。
「それについてはまったく何も覚えていない。でも、覚えていないのは僕だけじゃないよ。自分の本を書いていたとき、“エリックが来て演奏した時の様子は? みんなの反応は…”とか、いろいろ聞かれたんだけど、僕はただ“覚えていないんだ”と答えるしかなかったんだ」
スコットは、その質問に対する答えを見つけるために、そのセッションの記憶を特に呼び戻そうとして「実際に催眠療法を試みた」と認めていますが、結局、何も思い出すことはできませんでした。彼はこう続けています。
「当時のアシスタント・エンジニアで、ボタン操作を担当していたジョン・スミスにも尋ねたけど、彼は“そのことについては何も覚えていない”って言っていた。ジョージ・マーティンが休暇中だったから、その時プロデュースを務めていた彼のアシスタント、クリス・トーマスにも尋ねたけど、彼も“何も覚えていない”と言っていたよ。
ぼんやりと覚えていることがひとつある。クリスともその話をしたんだけど、エリックが“エリック・クラプトンではなく、ビートルズのように聴こえるなら弾くよ”と言っていたと思うよ」
その効果を出すために彼らが使った手法は?
「ADTを使ったんだ。ADTは“artificial double tracking(人工ダブルトラッキング)”か“automatic double tracking(自動ダブルトラッキング)”のことで、どちらと呼ぶかはお好みで。
これは、ジョン(レノン)が同じ曲を2回歌いたがらなかったことから始まった。彼はアンプ担当のスタッフの一人だったケン・タウンゼントのところへ行って、“2回歌わなくて済むような方法はないかな?”と相談した。ケンは一旦去ったけど、その天才的な頭脳を働かせて戻ってきてこう言ったんだ。“もしかしたら方法を見つけたかもしれない”」
実際、米Guitar Playerの1987年インタビューで、ジョージ・ハリスン自身がこの技術がソロを、よりビートルズらしく聴かせるために使われたと認めていました。
「エリックの演奏はすごく良かった。でもみんなでそれを聴き直していた時、彼が“でも問題がある。ビートルズらしさが足りない”と言ったので、ADTを通して音を揺らせたんだよ」