ブロンディ(Blondie)に世界的な成功をもたらした1978年アルバム『Parallel Lines(邦題:恋の平行線)』。当時メンバーだったギタリストの
フランク・インファンテ(Frank Infante)は、米Guitar Playerの新しいインタビューの中で、同作においてプロデューサーのマイク・チャップマンの存在がとても大きかったこと、また最も印象に残っているというキング・クリムゾンの
ロバート・フリップ(Robert Fripp)との共演について振り返っています。
「マイク・チャップマンがいなければ、いま僕たちが知っている『Parallel Lines』は存在しなかっただろうね。彼は作品のすべてをまとめるのに欠かせない存在だった。(前作の)『Plastic Letters』では、プロデューサーのリチャード・ゴッテラーが何度かテイクを録音して、その中からベストを選ぶってやり方だった。別にそれが悪いわけじゃない。リチャードが手がけたアルバムは素晴らしい音だった。ただアプローチが違っただけだ。
チャップマンは、テープの最初に戻って何度もやり直す、っていうタイプだった。彼はクレム(バーク)のドラムのリズムにすごくこだわっていて、クレムはよく走っちゃうから、リズムがズレることがあったんだ。
だからチャップマンはリズムを正確に保つことに頑としてこだわった。クリックトラックのようなものがあったかもしれないけど、彼は“テープの最初に戻って、もう一回やり直そう”と言うような人だった。で、僕たちが完璧に演奏できるまで、彼はその場にいて、カウントを取り、リズムを刻み、指示を出していた。
チャップマンと一緒にリハーサル室に入って、ベーストラックを固めて、その曲の方向性を決めた。それから、それをスタジオに持ち込んで録音し、他のメンバーが後でそれぞれのパートを録音していった。バンド全員が同時に一緒に演奏することは、実際にはほとんどなかったんだ」
インファンテが最も印象に残っている『Parallel Lines』のセッションのひとつは、キング・クリムゾンのロバート・フリップがスタジオに現れて、「Fade Away and Radiate」に彼の六弦のスタイルを刻み込んだ日だったという。
「彼はとてもクールで、仕事のしやすいナイスガイで、エゴむき出しの狂ったタイプなんかじゃなかった。彼がボウイの“Heroes”で聴かせるあの音色。あの音色を僕らにもたらしてくれたんだ。彼は唯一無二の存在で、まさにロバート・フリップそのものの音だった。
何度かリハーサル室で一緒にジャムもしたし、後にはライヴで数回一緒に演奏してた。彼のギターアプローチは実に知的。彼はトラックに合わせて即興で演奏するだけ。僕ら全員がやっていたやり方そのものだったね」