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プリンスのコラボレーター、ビートルズなどが『Around the World in a Day』に与えた影響について語る

2025/10/21 18:59掲載
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Prince and the Revolution / Around the World in a Day
Prince and the Revolution / Around the World in a Day
プリンス&ザ・レヴォリューション『Around the World in a Day』は、ビートルズ(The Beatles)『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』と何度も比較されてきました。プリンス(Prince)は後にビートルズの影響を受けていないと主張していましたが、本作の発売40周年を記念した英Mojo誌の新しい特集の中で、彼のかつてのコラボレーターたちは、ビートルズをはじめ、プリンスの新しい方向性に与えた主な影響について語っています。

ザ・レヴォリューション(The Revolution)のドラマー、ボビー・Zによると、プリンスがビートルズの天才性を完全に理解するまでには時間がかかったという。プリンスをビートルズ・ファンにしようとした初期の試みについて彼は「最初は『Sgt. Pepper's』から試してみたんだけど、まったく響かなかったんだ」と語っています。

エンジニアのスーザン・ロジャースによると、この状況を変えたのは、プリンスのプロジェクトで誕生したザ・ファミリーのメンバーで、プリンスの恋人だったスザンナ・メルヴォワンだったという。スザンナは、ザ・レヴォリューションのギタリスト、ウェンディ・メルヴォワンの双子の妹です。

スザンナによると、彼女は「プリンスに、彼が若い頃に聴いたことのない音楽、例えばレッド・ツェッペリンやビートルズを紹介していた」という。

ほぼ同じ頃、ザ・レヴォリューションのキーボード奏者リサ・コールマンは、弟のデヴィッドが作った中東音楽の影響を受けた音楽をプリンスに聴かせていました。ウードやダラブッカといった楽器を用い、西洋とは異なる音階を使って作曲されたその音楽に「プリンスは夢中になった」とウェンディは語り、「目を見ればわかったわ。新しい方向性を見つけたんだって」と付け加えています。

『Around the World in a Day』のレコーディング・エンジニア、スーザン・ロジャースは、プリンスがワンマンバンドモードで臨んだ「Condition of the Heart」について、こう語っています。

「日曜日はバンドのリハーサルがなかったので、たいていは私たち2人きりでした。“Condition Of The Heart”は日曜日に生まれた曲です。彼はできるだけ静かに楽器から楽器と移動し、その歌声と曲の美しさに私は圧倒されました。

彼はとても傷つきやすい面を持っていたけれど、たいていそういう脆さのある曲――例えば“Moonbeam Levels”や“Another Lonely Christmas”――はアルバムには収録されなかった。“Condition Of The Heart”では、彼は本当にすべてをさらけ出している。彼がこの曲を引っ込めなくてよかった」

翌日、この曲を聴いたボビー・Zは涙を流し、ビートルズの影響がついに現れた瞬間だったと語っています。

「プリンスのそれまでのバラードには、いつも性的な要素があったけれど、これはまったく別次元で、“Eleanor Rigby”や“She’s Leaving Home”のように、明瞭な表現と感情で物語を紡いでいた。“Purple Rain”のポップなシンプルさを通り越して、ガーシュウィン的なものになった。彼の人生のごく近くで、彼がそんな高みに到達するのを目撃できたのは、畏敬の念を抱かせるものだった。ミケランジェロが天井画を描くのを見ているようだった」

プリンスは後に、『Around The World In A Day』はビートルズの影響を受けていないと主張し、ジャケットアートについても、自分の写真を見るのにファンが飽きていると思ったからそうなっただけだと語っていました。