あなたは、お気に入りのギターのために何ができる? 交通事故に遭い、気を失った状態で運転席から救出された
ジョン・サイクス(John Sykes)は、意識を取り戻した後、炎上する自分の車を見て、すぐに自分の1976年製レスポールを救うために車に走って戻ろうとしたが、救急隊員に抑えられたことがあるという。1989年に米Guitar World誌のインタビューで語っていました。同誌が公式サイトで記事をアーカイブ公開しています。
1976年製の黒いギブソン・レスポールは、サイクスが当時、
ホワイトスネイク(Whitesnake)、そしてその前に在籍した
シン・リジィ(Thin Lizzy)での全てのライヴで使用してきたという愛器でした。
1980年代半ば、サイクスは、乗っていた車がトラックに側面から衝突されるという、ひどい自動車事故に遭いました。
幸運なことに迅速に駆けつけた救急隊員が、気を失った状態のサイクスを運転席の窓から救出することができました。大破した彼の車はまもなく炎に包まれました。
意識を取り戻したサイクスが炎上する自分の車を見て考えたのはただ一つ、後部座席に置いてきた愛用のレスポールのことでした。
サイクスは車まで走って戻ろうすると、現場にいた救急隊員の1人に制止されました。隊員は、事故現場へ必死に戻ろうとするサイクスを抑えなければなりませんでした。
幸いにも、ギターが燃え尽きてしまう前に、消防士たちが火を消し止めることができました。
サイクスはこう話しています。
「ギターが燃えてしまうのではないかと気が気でなかった。同じものは、もう二度と手に入らないことは分かっていたからね。こういう物(ギター)に抱く感情というのは、驚くほど強いもの。まるで自分の子供のようなんだ。共に多くの経験を重ね、どうすれば思い通りの音を出せるか知り尽くしているのに、それを失ってしまうかもしれないなんて…。
(このレスポールは一体何がそんなに特別だったのでしょうか?)
他にも30本くらいギターを持っているけど、それほど思い入れはないんだ。でも、このギターは...何なんだろうな。クリアで甘いトーンだし、サステインも良い。耳に障る汚い音のギターは好きじゃないんだ。
(同じ改造を施した他のどのレスポールよりも際立っていたという)
ギターやピックアップの組み合わせを色々試したり、同じピックアップを使ったりもしたけど、どれもこいつみたいな音は出ない。時にはギターが完全にダメになってしまうこともあった。67年製のレスポール・カスタムを入手したが、そいつには何をしてもダメだった。木材が完全に死んでいたんだ」