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元10ccのゴドレイ&クレームはなぜミュージックビデオ監督として成功したのか?ケヴィン・ゴドレイ語る

2025/03/13 17:39掲載
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Godley & Creme / Collected
Godley & Creme / Collected
10ccケヴィン・ゴドレイ(Kevin Godley)ロル・クレーム(Lol Creme)によるデュオ、ゴドレイ&クレーム(Godley & Creme)は、先駆的なミュージックビデオ監督としても評価され、80年代を通じて数多くのミュージックビデオを監督しました。 彼らがMV監督となった経緯、彼らはなぜMV監督として成功したのか?をゴドレイが米forbesの新しいインタビューの中で語っています。またゴドレイに新しい音楽をリリースする計画はあるのか尋ねています。

ゴドレイ&クレームの3rdアルバム『Freeze Frame』(1979年)に収録された「An Englishman in New York」のミュージックビデオが制作されました。その奇抜で斬新なビデオは、2人が絵コンテを描き、デレク・バーブリッジが監督しました。このビデオ制作の経験が、映画ファンであった彼らに、自分たちでミュージックビデオの監督を務めるというインスピレーションを与えました。

「そのアルバムがリリースされたとき、それを宣伝するには短い映画を制作するしかないと考えた。起こったことはまったく予想外だった。(ビデオのために)パフォーマンスもしたが、この経験を、このプロセスを理解しようとしていた。何が起こっているかを注意深く観察し、映画制作について理解しようとし、僕たちはそれを吸収していった。そして、僕たちはアイデアを出し始めるようになった。“これはできる?”“あれはできる?”と。特にビデオの編集に立ち会うことを主張したときは、デレクにとっては悪夢だっただろうね。僕たちはとにかく本気で取り組んだ」



ゴドレイ&クレーム自身もミュージシャンであったため、他のミュージシャンのミュージックビデオを監督する上で有利に働いたという。

「当時、ビデオ業界というものがまだ存在していなかったので、それが僕たちが成功できた大きな要因だったと思う。この業界で働いていた人たちは、誰も音楽のバックグラウンドを持っていなかった。音楽について話し、ミュージックビデオとして求められるものについてお互いに理解し合うのは難しいことなんだ。でも、ミュージシャンがミュージシャンと話すのであれば、同じことをしている他の人たちよりも早く理解し合える可能性がある。僕たちは、当時の他の監督たちよりも、ミュージシャンにとって話しやすい存在だった。それが本当に役に立ったんだ」

ゴドレイ&クレームが手がけた主のミュージックビデオ

Visage「Fade to Grey」
Duran Duran 「Girls on Film」「A View to a Kill」
Elton John「Kiss the Bride」
Asia「Heat of the Moment」
Culture Club「Victims」
Herbie Hanock「Rockit」
Wang Chung「Everybody Have Fun Tonight」
Police「Every Breath You Take」

ほか多数。

ゴドレイは今年2月、10ccの創設メンバーであるグレアム・グールドマンと約20年ぶりに一緒に新曲「Don’t Want to Go to Heaven」をリリースし、ゴドレイとグールドマンは英BBC Radio2の番組『Piano Room』で、この曲や「I'm Not in Love」を披露しました。

ゴドレイはこう振り返っています。

「やり残したことがあった。10ccの時代においても、(グールドマンと僕は) そんなに多くの曲を一緒に書いたり録音したりしなかった。4年間で3曲だけだと思う。だから、これをやれて喜びだった。“Don't Want to Go to Heaven”を書いて録音した唯一の理由は、『Piano Room』で演奏する際に、3曲が必要だったから。メイン曲は、僕たちの場合は“I'm Not in Love”。この曲はリリース50周年を迎えたからね。で、新曲とカヴァー曲。それが“Don't Want to Go to Heaven”が生まれた経緯だよ。今回もまた、とても楽しく作業ができた。 いい出来になったと思うよ」

ゴドレイは5年前に初のソロアルバム『Muscle Memory』をリリースしました。ゴドレイがグールドマンとまた一緒に音楽制作をしたり、あるいはソロアルバムをリリースしたりする予定があるかどうかについて、彼は次のように語っています。

「そんなに先のことは考えていない。ただ、とても楽しかったのは確かだ。どうなるかは誰にもわからない。その時、僕らにどんな活動があるか、僕らがどんなことに携わっているかによる。また何かできたらいいけど、今はまだわからない。

計画というよりも、本能的なものかもしれない。

『Muscle Memory』の制作は楽しかったが、そのプロセスは非常に奇妙なものだった。もし僕が普通の戦略的思考の持ち主だったら、つまり、僕はそうではないのだが、こう思うだろう。“僕は300曲以上の楽曲を持っていて、そのうち12曲を使った。残りの楽曲からまた何か作れるかもしれない”と。でも、僕はそういう考え方をしないんだ」

ゴドレイは、常に他者に追随するのではなく、独自のビジョンで創造的な境界線を押し広げてきた自身のキャリアを振り返って、こう話しています。

「(他の人と)一緒に活動するときも、個々活動するときも、どんな媒体であれ、常に“なぜ他の人がやったようなことをする必要があるのか?”という考えがあった。それは、自分たちの方がうまくできる可能性は低いと思うからで、それなら、人々がまだ耳にしたことも見たこともないような、もっと面白いものやオリジナルなものを探そうじゃないかとなった。まず自分たちがワクワクするようなものを作りたかったんだ。

同じことを繰り返すだけの作業はしたくなかった。だから、常に自分たちをワクワクさせるような何かを探し求めていたし、それがさまざまな実験的な道へと導いてくれたんだ」