シン・リジィ(Thin Lizzy)が1976年にリリースしたアルバム『Johnny the Fox(邦題:サギ師ジョニー)』には
フィル・コリンズ(Phil Collins)が参加しています。参加の経緯をメンバーの
スコット・ゴーハム(Scott Gorham)がUltimate Classic Rock Nightsの新しいインタビューの中で語っています。また、その前作『Jailbreak』には代表曲のひとつ「The Boys Are Back in Town(邦題:ヤツらは町へ)」が収録されていますが、当初は収録する予定はなく、マネージャーからの助言で入れることにしたという。こちらについても語っています。
■『Johnny the Fox』 フィル・コリンズ参加の経緯
「フィル (ライノット) が彼のことを知っていたんだと思う。彼は本当にクールな男の一人で、素晴らしいドラマーでありパーカッショニストだった。彼が街にいたので、俺たちが彼に“フィル、この曲かあのトラックにパーカッションを入れてくれないか?”と頼んだ。すると彼は“もちろん。問題ないよ!”と言って、すぐに来てやってくれたんだよ。
(※今回のインタビューでも、どの曲に参加したのかは明言しておらず、ブライアン・ロバートソンとブライアン・ダウニーの過去のインタビューでも、コリンズがどの曲に参加したのか思い出せないと話していました)
(当時は)そういうことが問題になることはならなかった、誰かが電話をかけてきたら“もちろん。来てよ!”と答えていたからね。当時は様々なバンドとの交流が盛んだった。みんな友達だったからね。誰もが自分たちが困難に直面していることを知っていた。外では戦争が起こっていたし、僕たちは皆一緒にいた。だから、すべてがかなり友好的な雰囲気だったんだ。
(フィル・コリンズはブランドXであろうと何であろうと、とにかく演奏するのが大好きでしたね)
まさにその通りだよ」
■『Jailbreak』 制作時、バンドはある意味、崖っぷちに立たされていた。
「マネージメントやレコード会社、一部のファンからも“お前たち、ここで魔法を生み出さなければ終了だぞ。戻ってこようとしても無駄だ。もう終わりなんだ”と言われていた。それは俺たち全員に少し神の恐れを抱かせるものだった。
今となっては時代遅れに聞こえるかもしれないが、俺たちは自分たちで4トラックのオープンリール式録音機を購入し、ロンドン郊外の農場に大きな部屋を借りた。俺たちはそこで3週間、ひたすらデモ制作に明け暮れた。おそらく1日に8時間から12時間くらいはリフをひねり出すのに費やしたと思う。フィルは歌詞を書いていた。メロディラインやギターのハーモニーなど、さまざまなことをやった。3週間後には25曲が完成し、その中からアルバムに入れる10曲を選ばなければならなかった。
興味深いことに“The Boys are Back in Town”は最初のリストには入っていなかったんだ。なぜかというと、フィルが書いた歌詞は素晴らしかったし、演奏する上での土台となる音楽も素晴らしいものだったけど、その時点ではハーモニー・ギターは入っていなかったんだ。つまり、この曲にはジャラジャラした部分が一切ない状態だった。
マネージャーの一人、クリス・オドネルがやって来て、“じゃあ、君たちがこの3週間で録音したものを聴かせてくれ”と言った。彼は25曲すべてを最後まで聴いてメモを取り、最後にこう言った。“このThe Boy is Backという曲は、完成されたサウンドではないが、何かとても気に入った。グルーヴと方向性が気に入った。その曲を入れて、オリジナルのリストから1曲外してみたらどうかな?”と。俺らは“まあ、やってみよう。少なくとも1票は入っているのだから”と考えたんだ。
そこで、実際に“The Boys are Back in Town”の制作を始めた。最終的にリフを思いつた。ブライアン・ロバートソンはすぐにそれに飛びつき、“これにハーモニーをつけてみよ”と言った。彼がそれをした途端、その部分が本当に活気づき、その曲の2番目のフックとなったんだ。マネージャーが来てくれて本当に良かったよ」