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デフ・レパード『Pyromania』にはトーマス・ドルビーが別名で参加 その経緯についてメンバー語る

2024/11/21 16:55掲載
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Def Leppard / Pyromania
Def Leppard / Pyromania
デフ・レパード(Def Leppard)の1983年アルバム『Pyromania』にはトーマス・ドルビー(Thomas Dolby)が「Booker T. Boffin」という別名で参加しています。別名で参加した経緯について、メンバーのジョー・エリオット(Joe Elliott)リック・サヴェージ(Rick Savage)がMusicRadarのインタビューの中で語っています。

エリオット:
「(80年代初頭は)ドラムマシンやシンセサイザーがいたるところにあったので、俺たちはこう考えたんだ。もしそれらのサウンドをロックバンドと組み合わせることができたらどうなるだろう。ロックの最高の要素を取り入れ、ヒューマン・リーグのようなテクノロジーとミックスすることができれば、誰も作ったことのないようなアルバムを作れるかもしれない、とね」

『Pyromania』のプロデューサー、マット・ラングは、フォリナーのアルバム『4』をプロデュースした際、「Juke Box Hero」や「Waiting For A Girl Like You」などのシンセサイザー演奏をトーマス・ドルビーに依頼していました。

エリオットによると、ドルビーのこのアルバムへの貢献は大きかったという。

「トム・ドルビーが参加したのは、プロジェクトが半分くらいまで進んだところだった。彼はいくつかの曲に新しい次元を加えてくれた。例えば“Rock Of Ages”では、サビの部分にギターは使わず、サヴ(リック・サヴェージ)のベースとトムのキーボードをミックスしたクールなベースラインだけを使った。だから、誰も使ったことのないモダンなサウンドが生まれたんだ」

サヴェージも同意見だという。

「“Rock Of Ages”のあのサウンドは素晴らしい。トムが加えた部分は、ベースギターと完璧にマッチしている。しかも、すごくダーティなサウンド、グランジっぽい! 攻撃的で、それがクールなところなんだ。彼はリズムも加えていた、リズムの中のリズムのように。非常に巧妙。ハードロックとは縁遠かった人から出てきたものとしては特にね。

トムの参加は、アルバムのサウンドを本当に向上させてくれた。彼が演奏したいくつかはギターパートのようなものだったので、バンドに突然キーボードプレイヤーが加わったようには聴こえなかった。それはギターに輝きを加えるためだけだった。マットは、すべてが完璧にビートに乗っていなければならないと強く主張していたので、トムが素晴らしいミュージシャンであることがよく分かった。技術的なことだけでなく、実際のパフォーマーとしてもね。

(ドルビーの最大の影響は「Rock! Rock! (Till You Drop)」のイントロにあったという)

あの曲はアルバムの幕開けとして俺たちの頭の中にあったんだけど、トムが参加して『オペラ座の怪人』の要素を加えるまではうまくいかなかったんだ。信じられないほど素晴らしいよ」

ドルビーが『Pyromania』の制作に参加することになったとき、ソロアーティストとしてのキャリアが「She Blinded Me With Science(邦題:彼女はサイエンス)」のヒットで軌道に乗り始めていたため、ドルビーはロック・ミュージックと結びつきすぎることに警戒していたという。その結果、ドルビーは別名でクレジットに登場しました。

アルバムに自分の名前を載せることを拒否したドルビーについて、サヴェージは彼が選んだ別名は、とてもふさわしいものだったと感じているという。

「彼は“どうか、ブッカー・T・ボフィンと呼んでください!と言っていたそれは理にかなっていた。彼はちょっとしたボフィン(※優れた知識や技術を持つ人)だったし、俺らが彼をブッキングしたんだしね」

エリオットはこう言っています。

「俺たちのような音楽は頻繁にからかわれるから、彼の気持ちはわかるよ。彼はデフ・レパードのアルバムに参加したことで自分の評価が下がることを望まなかったんだ。だから、アルバムがリリースされた後、俺はみんなに彼だと伝えたんだよ!」