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ビートルズ『サージェント・ペパーズ』がプログレにもたらしたもの イエス/ジェネシス/ピンク・フロイドのメンバーが語る

2024/10/23 15:55掲載
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The Beatles / Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band
The Beatles / Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band
ビートルズ(The Beatles)『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』がプログレにもたらしたものを、元イエスのジョン・アンダーソン(Jon Anderson)リック・ウェイクマン(Rick Wakeman)、元ジェネシスのスティーヴ・ハケット(Steve Hackett)、ピンク・フロイドのニック・メイスン(Nick Mason)、元ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズ(Roger Waters)が語る。英Prog誌は2017年の特集をネットでアーカイブ公開しました。

■元イエス ジョン・アンダーソン:

「ビートルズは最初のプログレッシブ・バンドだった。ビーチ・ボーイズ、フランク・ザッパなど、冒険的な音楽を作っているバンドは他にもあった。でも、ビートルズが最初にそれをやったんだ。『Sgt Pepper』だけでなく、それ以前もね。

(アンダーソンがこのアルバムを初めて聴いたのは、自身のバンド、ウォリアーズがハンブルグで公演を行った時でした)僕と仲間たちは、このアルバムを3週間ほど延々と繰り返し聴いていた。ライヴをやって、また戻ってきては一晩中『Sgt Pepper』を聴いていた。いろんな意味でハイになっていた。そして、アルバムが発表されて、さらにハイになった。まるで革命的な音楽への扉を開けてくれたような感じだったんだ。

(アンダーソンは、ウクレレを除けば無伴奏でA Day In The Lifeをライヴでカヴァーしている)美しい曲だよ。とてもプログレッシブだが、とてもシンプルだ。

(マッカートニーはこのアルバムはドラッグの影響下で書かれたものではないと主張したが)『Sgt Pepper』はとても宇宙的だった。ドラッグなしで聴いても、かなりハイになっていた。感情の絶え間ない流れだったんだ。

(アルバムを聴いた後、アンダーソンはウォリアーズにもっとリハーサルをするよう促したことを覚えている、しかし)彼らは僕に失せろと言ったので、僕は脱退し、やがてクリス・スクワイアと出会い、イエスを結成したんだ」

■元イエス リック・ウェイクマン:

「ジョージが、彼らが持っていた限られた機材と、次の作業を行うのに十分な余裕を確保するために、1つのトラックを別のトラックにバウンスさせる方法について話してくれたとき、僕はただ“どうやって?”と思ったよ。それは、技術的に不可能なはずの音楽をレコーディングしようと彼らが必死に努力した結果だった。スタジオでの実験精神はプログレッシブ・バンドが見習うべきものだった。

『Sgt Pepper』は間違いなくコンセプト・プログレの一種だった。完全なコンセプト・アルバムではなかったかもしれないが、そこには真剣にコンセプチュアルな要素がある。

音楽的には、彼らのソングライティングは最高のクオリティだった。素晴らしい曲があれば、何にでもできる。それは“A Little Help From My Friends”で証明された。ジョー・コッカーは、このかわいくて小さなポップ・チューンをクラシックなロック・ソングに変えたんだよ。

(『Sgt Pepper』は)音楽界を一瞬にして数年前進させた。プログレッシブ・ロックに大きく近づいたんだ」

■元ジェネシス スティーヴ・ハケット:

「これは耳のための映画だ。そこには、小さなキャラクターの肖像画や挿話がたくさんある。ビートルズは、人々の生活におけるこうしたフラッシュポイントをうまく表現するのが本当に上手かった。例えば、“She’s Leaving Home”のように、彼女が家を出ようとする瞬間。あるいは“Being For The Benefit Of Mr Kite!”のように、最後に遊園地に迷い込む瞬間。それはとても鮮やかだ。

『Sgt Pepper』は、あらゆる奇妙で素晴らしいもののテンプレート。ビートルズは、自分たちがすべてを変えると決意していた。そして、彼らがそうしてくれたことに感謝しているよ」

■ピンク・フロイド ニック・メイスン:

「『Sgt Pepper』は、アルバムこそが新しい時代の寵児であるという事実を確立した。多かれ少なかれ “さっさとやれよ”と言っていたレコード会社との関係を変えてくれたビートルズには感謝している。彼らのおかげでスタジオで過ごす時間が増え、さまざまなアイデアに取り組む機会が大幅に増えた」

■元ピンク・フロイド ロジャー・ウォーターズ

「俺が学んだのは、自分自身を表現してもいいのだということだった。俺たちは自由なアーティストになれるし、その自由には価値があるんだということをね」