ローリング・ストーンズ　99年ホームタウン・クラブ公演のライヴ作品『Welcome To Shepherd's Bush』発売　トレーラー映像あり

“シェパーズ・ブッシュへようこそ”とミック・ジャガーが宣言する。
“しばらく前からこれを言うのを楽しみにしていたよ。”

オープニングの「シャッタード」に入る直前、冒頭で上記のように宣言して、ザ・ローリング・ストーンズは1999年6月8日にロンドンのシェパーズ・ブッシュ・エンパイアで行なわれたクラブ・ショウで、素晴らしい演奏を繰り広げた。世界最高のロックン・ロール・バンドの最新映像作品となる『ウェルカム・トゥ・シェパーズ・ブッシュ』に付属するポール・セクストンのライナーノーツによると、ライヴを目撃したのは“幸運な1,800人の観客”だった。

この原点に戻ったようなライヴは、ライナーノーツによると“イール・パイ・アイランドや、クロウダディ・クラブでの興奮の名残を感じさせるコンパクトなストーンズ公演の懐かしい強烈さ” を伴ったものだった。この２か所の会場は、60年代のブリティッシュ・インヴェイジョン真っ只中に彼らの成功の足掛かりとなった場所で、この“シークレット・ギグ”は、７万人収容で、既にソールドアウトのウェンブリー・スタジアムでの公演のほんの数日前に行なわれた。バンドは今回のイギリス凱旋前、1998年にライヴ・アルバム『ノー・セキュリティ』をリリースし、その後、1月から4月にかけて北米でライヴを行なっていた。

今回のザ・ローリング・ストーンズの故郷凱旋公演には、アニタ・パレンバーグからエアロスミス、ジェリー・ホールからジョン・ボン・ジョヴィ、さらにロバート・プラント、ジミー・ペイジ、ボブ・ゲルドフ、ピート・タウンゼント、レニー・クラヴィッツなど、有名スターたちが顔を揃えていた。

『ウェルカム・トゥ・シェパーズ・ブッシュ』は、様々な形式でリリースされる。特筆すべきは、ストーンズのビデオとしては初のドルビーアトモス対応の4KウルトラHD形式が発売される（輸入盤のみ）。他のフォーマットにはブルーレイ＋２CDセット、世界で15,000組限定の２CDセット、ブラック・ヴィニールの２LPパッケージなどがある。

この90分の演奏曲には、極めてレアな楽曲がいくつか含まれている。『ヴードゥー・ラウンジ』からの「ムーン・イズ・アップ」は、このときの演奏が今のところ唯一のライヴだ。『ブラック・アンド・ブルー』からの「メロディー」は、このとき以外には20年以上前、1977年にトロントの有名なエル・モカンボで行なわれたライヴで演奏されたきりだった。エル・モガンボでのライヴは2022年に正式にリリースされている。『ヴードゥー・ラウンジ』からの「ブランド・ニュー・カー」は、ライヴでは過去にわずか７回しかセットに組み込まれていない。最後に演奏されたのは2002年だった。他にハイライトとしては、前座を務めたシェリル・クロウが「ホンキー・トンク・ウィメン」でゲスト参加している。

つい最近、成功裏に終わったばかりの『ハックニー・ダイアモンズ』のスタジアム・ツアーでザ・ローリング・ストーンズのライヴを見たばかりの人たちにとって、『ウェルカム・トゥ・シェパーズ・ブッシュ』は、故郷の馴染みの場所に戻ってきた四半世紀前の同じバンドの姿を目の当たりにすることができる。

“故郷はいいもんだな。本当に”、とキースが自身のソロ・ナンバーである「ユー・ガット・ザ・シルヴァー」と「ビフォー・ゼイ・メイク・ミー・ラン」の前に言った。“たかがロックンロール、わかるだろ？”　この言葉は、今も昔も真実だ。