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ジョージ・ベンソン 『The Other Side of Abbey Road』のコンセプトはどのようにして思いついたのか回想

2024/10/15 16:45掲載
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George Benson / The Other Side of Abbey Road
George Benson / The Other Side of Abbey Road
ジャズ・ギタリストのジョージ・ベンソン(George Benson)は、ビートルズ(The Beatles)のアルバム『Abbey Road』(1969年)をカヴァーした『The Other Side of Abbey Road』を1970年にリリースしました。このコンセプトはどのようにして思いついたのか? 米Ultimate Classic Rockの新しいインタビューの中で振り返っています。

Q:『The Other Side of Abbey Road』というコンセプトはどのようにして思いついたのですか?素晴らしいアルバムです。

「まず言えるのは、当時、音楽界ではクロスオーバーの時代が始まる前だったんだ。スターたちがクロスオーバーの音楽を演奏し始めてはいたが、まだ一般的ではなかった。おそらく(その当時)最も人気のあるクロスオーバーの曲は、エラ・フィッツジェラルドが(1964年にカヴァーしたビートルズの)“Can’t Buy Me Love”だったと思う。“わあ、エラ・フィッツジェラルドがビートルズの曲を歌っている!”という感じだった。彼女がまず最初に、それが可能であること、そして人気が出ることを証明するために、素晴らしいパフォーマンスを披露してくれた。

ある夜、レコードプロデューサー兼レーベルオーナーのクリード・テイラーが僕をオフィスに呼び、“ジョージ、このレコードを家に持って帰って聴いてみろ”と言った。僕は(ビートルズのアルバム)『Abbey Road』を家に持ち帰って聴いた。 翌日、僕がオフィスに戻ると、彼は“どう思う?”と尋ねた。僕は“いやあ、このアルバムはすべてがすごいね”と答えた。

すると彼は“よし、アルバム全部やろう!”と言った。僕は“えっ、アルバム全部? 冗談だよね? そんなことしたら、僕はジャズの世界の敵になっちゃうよ!”と言った。僕は自分の音楽は商業的すぎると思われていたので、そこには、すでに葛藤があった。でも、スタジオに入り、素晴らしいアレンジャーのドン・セベスキーが、これらの美しい曲を室内楽オーケストラのためにアレンジしてくれた。彼はニューヨーク交響楽団からニューヨークのトップミュージシャンたちを招いて、僕たちと一緒に演奏した。

僕は最初の曲の1つ“Golden Slumbers”を歌わなければならなかったんだけど、その時までに彼らの多くは僕が歌うの聴いたことがなかった。だから彼らは僕を狂ったように見ていた。“なんだ?ジョージが歌っているぞ!”ってね。その後のギターパートもかなりうまくいった。

『Abbey Road』をやるというクリード・テイラーのアイデアは少し早すぎたかもしれないね。でも、最終的には人気が出た。“Breezin'”がリリースされた数年後、予想通り人気が出た。みんなが『The Other Side of Abbey Road』を再発見し、それは実際に僕のキャリアを後押しした。そうなって嬉しかった。あれは、僕が今まで作ったアルバムの中で最高傑作のひとつだと思うからね」

なお、ベンソンは2023年のインタビューの中で本作に関して「ポール・マッカートニーは“君は僕たちの音楽を元に良い作品を作ってくれた”という言葉をかけてくれた。素晴らしい報酬だよ」と振り返っていました。