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プリンスが20年前にロックの殿堂式典で披露した名ギターソロ 新ドキュメンタリーは「ある意味で復讐の行為だった」と描く

2024/09/10 10:55掲載
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Prince Gently Weeping from Rock Hall 2004: NEW DIRECTOR'S CUT!
Prince Gently Weeping from Rock Hall 2004: NEW DIRECTOR'S CUT!
プリンス(Prince)が2004年の<ロックの殿堂>式典で披露した、ビートルズ(The Beatles)「While My Guitar Gently Weeps」の名ギターソロ。20年経った今でも称賛されるこの素晴らしいパフォーマンスについて、まだ公開されていないプリンスの生涯を描いたドキュメンタリー映画でも言及されているという。ニューヨーク・タイムズ・マガジン誌の最新号で、ライターのサーシャ・ワイスがこのドキュメンタリー映画について解説する中で、この「While My Guitar Gently Weeps」のパフォーマンスは「ある意味で復讐の行為だった」と説明しています。

2004年の<ロックの殿堂>式典ではジョージ・ハリスンに敬意を表し、プリンス、トム・ペティ、ジェフ・リン、スティーヴ・ウィンウッド、ダニーらが「While My Guitar Gently Weeps」のパフォーマンスを披露しています。この曲には2つのソロがあり、最初のソロはジェフ・リン・バンドのマーク・マンが、次のソロはプリンスが演奏しています。

今回のドキュメンタリー映画は、アカデミー賞受賞監督エズラ・エデルマンが監督を務めています。

記事を紹介する前に知っておいてほしいのは、この「While My Guitar Gently Weeps」のパフォーマンスの前年に発表された米ローリング・ストーン誌が選ぶ「歴史上最も偉大なギタリスト100人」のリストからプリンスが除外されたこと。そして米ローリング・ストーン誌の共同創刊編集長でであるジャン・ウェナーは、殿堂の責任者の一人でもあることです。

記事でライターのサーシャ・ワイスはこう述べています。

「プリンスはこのような侮辱を心に留め、ジャン・ウェナーとローリング・ストーン誌と関連のあるイベントでステージを占拠したことは、ある意味では復讐の行為でもあった。パフォーマンスには敵意と攻撃性があった。しかし、痛みが伴っている。顔をしかめる彼の表情、孤独感。小柄で洗練された黒人が、しわくちゃの白人のロッカーたち抱えてステージに立っているのだ」

このドキュメンタリーでは、プリンスの殿堂入りパフォーマンスと、波乱に満ちた幼少期など過去のシーンが対比されているという。

「エデルマンはソロの最初の瞬間と過去の断片を並列させ、過去の映像を呼び起こしいる。(中略)突如として、この堂々としたパフォーマンスは、疑念を抱く人々、すなわち白人のロック界の権威者、理解のない両親、彼の頭の中の悪魔など、あらゆる疑念に直面する不安と主張という。もう一つの次元が加わる。ギターから引き出される悲痛な叫びはあまりにも悲痛で、こちらも思わず涙を流したくなる。後に、彼の親しい友人が語ったところによると、プリンスはこのパフォーマンスを何度も繰り返し見ていたという」

以下はプリンスのパフォーマンスの映像



エデルマンは、2019年にNetflixの幹部からこのプロジェクトを任されて以来、プリンスのドキュメンタリー映画の制作に取り組んできました。5年間にわたる骨の折れる作業にもかかわらず、この映画は公開されないかもしれません。

問題となっているのは、最終編集をめぐる議論にあるようです。エデルマンが契約したとき、プリンスの遺産を管理するエステートはミネソタ州の銀行が管理していました。映画製作者はプリンスの膨大な資料の保管庫へのアクセスを許可され、エステートがドキュメンタリーに影響を及ぼすことはないという約束もなされました。しかし、数年後、遺産管理者が変更されました。新しい遺産管理者は、エデルマンの描くプリンスの姿に異議を唱えたと言われています。その描写には、プリンスの並外れた才能だけでなく、支配的な性格や時に攻撃的な態度も含まれていたという。

「昨年の春、(エステート)は映画の編集版を観て、プリンスのイメージを誤って伝えているとして、映画の権利を所有するNetflixと長期にわたる公開差し止め訴訟を起こしました。」とワイスは報告し、「現在、この映画が公開される兆しはまったくありません」と付け加えています。