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XTCのアンディ・パートリッジ 『Black Sea』収録曲「Respectable Street」の誕生の物語を語る

2024/08/22 13:29掲載
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XTC / Black Sea
XTC / Black Sea
XTCアンディ・パートリッジ(Andy Partridge)は、アルバム『Black Sea』に収録されている「Respectable Street」の誕生の物語を米Spinの新しいインタビューの中で語っています。

「最初の妻と僕が最初に住んだのは(イギリスのスウィンドンにあるボウッド通りの)2階建ての家の最上階だった。彼女の母親が所有していたので、家賃はかからかった。隣に住んでいた女性は、洗濯ばかりしていたので、僕たちは彼女のことを“洗濯夫人”と呼んでいた。彼女は何でも洗った。毎日洗濯物が並んでいて、どんどん変わっていった。パンツ、シャツ、靴下から靴まで、それから台所用品じゃなくて、本当に変わったものまで......。

僕たちが音楽をかけると―音量は関係なく、ステレオ設備がなかったのであまり大きな音は出せなかった―、彼女は壁を叩いて音を小さくしろと叫んでいた。彼女と彼女の夫や子供たちは、僕たちよりもずっと大きな声で激しい口論をしていた。ひどい偽善だった。もし洗濯夫人が今これを読んでいるなら、(この曲は) あなたの偽善と、僕たちが住んでいた家の窓から丘の上にある家を見渡せたことからインスピレーションを受けたと伝えたい。まるでモデルセットか何かのように見えた。ほとんどの家の庭にはキャンピングカーかトレーラーが置いてあった。イギリスでは“キャラバン”と呼ばれている。ただそこに置いてあるだけだった。たぶん年に1週間くらいはどこかへ移動させるのだろうが、ステータスシンボルとしてそこに置かれていただけで、それらの家々は互いにステータスを競い合っていた。

それはステータスシンボルの滑稽さであり、高潔な人々が恥ずべき振る舞いをしているという事実だった。スーツを着てどこかに行く人を見て、あなたは (皮肉を込めて)“彼らは立派だ”と思うだろう。夜になると、彼らはあなたの家の壁にゲロを吐きにやって来る。僕はこの偽善についてコメントしなければならないと思った。この曲にはザ・キンクス(The Kinks)の要素が色濃く出ている。

ヴァージン(レコード)が“これはシングルになる”と言ったとき、僕はとても驚いた。彼らは“歌詞に問題がある”と言っていた。彼らが“問題のある歌詞”のリストを渡したのか、それとも僕たちが話し合って解決したのかは覚えていないけど、それは“中絶”や“避妊”など“イギリスの昼間の主流のラジオでは問題になるかもしれない”というようなものばかりだった。僕たちはこの曲のインストゥルメンタル・ミックスをスタジオに持ち込み、ヴォーカルを“クリーンアップ”したフレーズでやり直した。“中絶(abortion)”を“吸収(absorption)”に変えたのは生理用品の広告か何かに使えそうだったから。

歌詞を半分くらい変えたんだけど、BBCは“ダメだ、まだ放送できない”って言うんだ。僕たちは“なぜ?なぜ放送できないんだ?”と尋ねると“歌詞の問題がまだある”と言われた。僕たちは彼らが何を言っているのか理解できなかった。

ここにもキンクスとの繋がりがある。何年か経ってから、BBCで働いていた人物が“あなたのあの曲Respectable Streetは放送禁止だった。なぜ放送禁止になったのか知っていますよ”と言っていたので、僕は”放送禁止になった歌詞はなんだったの?”と尋ねると、彼は“ソニー・エンターテイメント・センター”と答えた。なぜ誰もそれを言わなかったのか? それはキンクスによく似ている。彼は“Lola”の“Coca-Cola”を削除しなければならなかった。彼らはアメリカで何かやっていて、(レイ・デイヴィスは)アメリカから飛んでレコーディングスタジオに入り、“コカ”を“チェリー”に置き換えたんだ」

またパートリッジはアルバム『Black Sea』について「あのアルバムのドラムの音にはとても満足している。プロデューサーのスティーヴ・リリーホワイトとエンジニアのヒュー・パジャムと初めて仕事をしたとき、“ドラムはエルヴィス・プレスリーのJailhouse Rock(監獄ロック)のような音にしたい”と言ったのを覚えている。明らかに大きな部屋で録音されていて、部屋の自然な反響音が聴こえてくるんだ」とも話しています。