HOME > ニュース >

『ジギー・スターダスト』でデヴィッド・ボウイが手にするギターの持ち主で、ボウイのバンドメンバーだったマーク・カー・プリチェットが死去

2024/06/14 09:51掲載(Last Update:2024/06/14 17:46)
メールで知らせる   このエントリーをはてなブックマークに追加  
David Bowie / The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars
David Bowie / The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars
デヴィッド・ボウイ(David Bowie)『The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars(邦題:ジギー・スターダスト)』のアルバム・カヴァーでボウイが手にするギターは、ボウイ自身のものではなく、知人から借りたものでした。このギターの持ち主で、ボウイによって結成されたバンド、アーノルド・コーンズ(Arnold Corns)のメンバーとしても活躍したマーク・カー・プリチェット(Mark Carr Pritchett)が死去。ボウイのSNSアカウントが発表しています。

以下、声明より

「RIP マーク・カー・プリチェット

マーク・カー・プリチェットのご家族やご友人にお悔やみ申し上げます。残念ながら、彼は昨日朝に亡くなりました。

ファンなら、DBがアーノルド・コーンズを結成したことから、マークが(1973年に撮影されたTVスペシャル)『The 1980 Floor Show』にセカンド・ギタリストとして出演したことまで、ボウイとの関わりはよく知るところでしょう。ボウイが『ジギー・スターダスト』のジャケット撮影でポーズをとったギターの持ち主であることは言うまでもありません。

以下は(6月14日発売の『ジギー・スターダスト』期の)ボックスセット『Rock ‘n’ Roll Star!』に掲載されているトリス・ペンナのメモからの抜粋です。

+ - + - + - + - + - + - + - + - + - + - + - + - +

マーク・カー・プリチェットはデヴィッドのベッケナムの隣人であり、60年代後半から70年代前半にかけて自称“臨時雇い”ギタリストとして“アーノルド・コーンズ”のバンド・メンバーでもあった。

以下、マーク・カー・プリチェットの証言より

1969年5月頃のある日、高校時代のバンド“Rungk”のリハーサルに行くため、ギターを手にベッケナムをぶらぶらしていたら、壁に“アーティスト、ミュージシャン、詩人、陶芸家の方、スリー・タンズでのミーティングに来てください”というポスターが貼ってあるのを見つけた。このイベントが“ベッケナム・アーツ・ラボ”の始まりとなり、そこで当時22歳だったデヴィッド・ボウイと初めて出会った。

(ボウイは)僕の実家の近くにあるハドン・ホールのアパートの1階に引っ越してきたばかりで、僕たちは隣人同士だった。

それから、僕たちは本当に仲良くなって、彼は僕についてもっと知るようになり、僕たちはギターを弾いたり、機材を共有したりするようになった。

時は流れて1972年1月。

僕はアパートの部屋で座っていた。ドアをノックしたのはデヴィッドだった。

“やあ、ちょっと頼みがあるんだ”
“何?入って。お茶でも飲む?”
“いや、時間がないんだ。君の赤いレスポールを貸してくれないか?”
“もちろん”
“今すぐ”
“いいけど、どうして?”
“写真撮影があるんだ。そのギターがどうしても必要なんだ。いいかい?”
“いいよ、ケースに入れておいてね”
“朝には返すよ”
“傷つけないで、保険に入ってないから”
“そんなことはしないよ”

そして、彼は行ってしまった。

翌日、ギターが戻ってきたが、そのギターにはまだ雨粒が付いていた。

僕は“デイヴ、ギターを大事にしてくれてありがとう”と言った。

“大丈夫だと思うよ。それで写真を撮ったんだ”

それから数ヵ月後、『ジギー・スターダスト』のアルバム・ジャケットを見たとき、そこには僕のレスポールがあった。
それはジギーのギターで、曲の内容通り盗まれたのではなく、僕から借りたものだったんだ!」



■『The 1980 Floor Show』の映像