シン・リジィ(Thin Lizzy)といえば、ツイン・リード・ギターによる美しいハーモニー。ギタリストの
スコット・ゴーハム(Scott Gorham)はGuitaristの最近のインタビューの中で、シン・リジィが伝説的なツイン・リード・ギター・ハーモニーを思いついた経緯を振り返り、そうするきっかけとなったのは単なる偶然だったと説明しています。
ツイン・リード・ギター・ハーモニーは、1975年アルバム『Fighting』でそのスタイルが確立されました。ゴーハムによると、同作のレコーディング中に、ブライアン・ロバートソンがギタートラックをレコーディングしている最中にそれは起こったという。
「あれは、ある意味で、ちょっとした事故のようなものだったんだ。ひどい言い方だけどね。
何が起きたかというと...アルバム『Fighting』だったと思う。ロバート(ブライアン・ロバートソンン)は1つのメロディーラインだけをやるつもりだった。そして、僕はそれをダブルにするか、オクターヴを足そうかと思っていた。
でも、実際に起こったことは、彼がそのラインを弾いている間、エンジニアがディレイをかけていた(※原音から遅れてくる「ディレイ音」が足されていた)。それが何ミリ秒(遅れ)だったのかはわからないけど、それがフィードバックされたとき、ハーモニーとなっていたんだ。
もちろん、彼は“ああ、ごめんよ。なんでこんなことしたのかわからない。もう一回やらせてほしい”と言ったんだけど、でも俺は“いや、すごくよかった!本当にいい感じだった!”と言ったんだ」
気がつくと、彼らはそれをあちこちでやるようになっていたという。ゴーハムはこう続けています。
「俺は“なあ、ブライアン。あのメロディーラインを録音してみたらいいんじゃない? 俺はスタジオでハーモニーを考えて、それに合わせてハーモニーをつけてみるよ”と言った。
それが終わると、みんな腰を落ち着けて、“ああ、これは本当にクールなサウンドだ。もっとやるべきだ”と話し合ったんだ。それで、さまざまな曲の中からさらにセクションを選び出し、それぞれの曲ごとに異なるハーモニーラインを練り上げたんだ。
そして気が付くと、アルバム1枚分になり、発売された後、“ツインハーモニーギターによる特徴的なシン・リジィ・サウンド”というレビューを耳にするようになった。俺は“マジかよ?俺たちは自分たちサウンドを手に入れたんだ、なんてクールなんだ!”と思ったよ。それは俺たちのサウンドになったけど、俺たちはそれを本当に楽しんでやっていただけなんだ」
■アルバム『Fighting』
■インタビュー