Prince and David Bowie Theo Wargo/WireImage; Dave Hogan/Getty Images
デヴィッド・ボウイ(David Bowie)と
プリンス(Prince)は「同じコインの裏表」のような存在で、おそらく自分たちは気づいていなかっただろうがよく似ていたと、数十年にわたり両者と仕事をした広報担当者が語る。またインターネットが音楽界を永遠に変えたとき、2人はそのパイオニアだったとも語っています。
広報担当者のアラン・エドワーズはボウイ、プリンス、ローリング・ストーンズ、スパイス・ガールズ、ポール・マッカートニー、マイケル・ジャクソンといった世界の大物アーティストたちと過ごした日々の物語を綴った回顧録『I Was There:Dispatches From a Life in Rock and Roll』を出版しました。そのプロモーションの一環で、LondonWorldの取材に応じています。
エドワーズがデヴィッド・ボウイの下で仕事を始めたのは1981年のことでした。その10年後の1991年、エドワーズはプリンスの下で仕事を始めました。
エドワーズは90年代、インターネットによって音楽業界が再構築される中、2人のスターが道を切り開く様を最前列で見ることができたという。
エドワーズは、プリンスとインターネットについて語ったことをこう振り返っています。
「彼と1時間ほどインターネットについて話をしました。(インターネットは)当時まだ新しいもので、とても新鮮だった。彼は流通方法の変化について話していました」
プリンスは業界のビジネス面に夢中で、ファンクラブ向けのオンライン・リリースからデイリー・メール紙の無料アルバムまで、さまざまな流通の方法を試していました。彼は公私問わず、そのことについてよく話していました。
エドワーズはこう続けています。
「(プリンスは)レコード会社やその仕組みについて不満を漏らし、自分がどうやってそこから抜け出そうとしているかについてよく話していました。彼ら(ボウイとプリンス)は、おそらく自分たちは気づいていなかったでしょうが、よく似ていました。もちろん、彼らは互いの存在を知っていたし、実際に会ったこともあったでしょうが、僕は彼らをある意味、同じコインの裏表のように見ていました」
ボウイはインターネットについて“伝道者”だったとエドワーズは言っています。
ボウイがインターネットがどれほど革命的なものなのかを語る有名なインタビュー(1999年 英BBC)があります。インタビュアーは明らかに懐疑的でしたが、ボウイは、インターネットが音楽の流通を変えるだけでなく、ソーシャルメディアにつながる方向性を見抜いていました。「コミュニティが大事なんだ。オーディエンスがますます重要になる」と語り、このインタビューはしばしば「予言的」と表現されています。
このインタビューの背後にいたエドワーズは「彼はとても先を行っていた。当時、誰もそのことについて話していませんでしたし、人々もあまり気にしていませんでした」と語っています。
エドワーズによると、ボウイもプリンスも、インターネットがいかに自分たちのコミュニティとの距離を縮めているかを理解していたという。しかし、それは「従来のマーケティングや広告、業界が知っているつながり方ではなかった」とも話しています。
「ボウイとプリンスには、アーティストとして多くの共通点があると僕はいつも思っていました。2人ともレコード会社のシステムに本当に不満を抱いていました。彼らはアルバムを作っても、しばらく放っておかれ、それからプレスして、約1年後に発売されるという仕組みを、それぞれ違った意味で嫌っていました。
2人とも、特定の時間や空間に縛られることを嫌っていました。2人とも多作なアーティストで、自分たちが作ったものをすぐに自分たちのコミュニティに送り出したいと考えていました。2人はまさに、プリンスのファンのバブル(同じ考え方を持った集団)、ボウイのファンのバブルのようなものを想像していたのです。新聞のように、彼らは日常的にコミュニケーションを取ることを望んでいました。当時のシステム上の制約を彼らは本当にやっかいだと感じていたと思います。そして2人とも、異なる方法でそのシステムを打ち破ったのです」