ABC / The Lexicon of Love
1980年代に一世を風靡したニューロマンティック・バンドのひとつ、
ABC。彼らの最大のヒット曲「The Look of Love」(1982年)をレコーディングする際に、
デヴィッド・ボウイ(David Bowie)が音楽的なアドバイスをしたという。ABCの中心人物であるヴォーカリストのマーティン・フライが、英Absolute Radioのラジオ番組『Tim’s Listening Party』の中で当時のことを振り返っています。
ABCは当時、トニー・ヴィスコンティが所有するロンドンのグッド・アース・スタジオで、この曲の制作に取り組んでいました。
「レコード・ミラー紙のインタビューを受けていたらボウイが現れたんだ。そして彼は(レコーディング)セッションに参加した。僕たちはボウイの大ファンだから、すごくびっくりしたよ。
最近、アン・ダッドリー(キーボーディスト、作曲家、編曲家)と話したんだけど、彼女が自分のパートを弾いているとき、お茶を飲みながら時間を過ごしていたボウイが、こう言ったんだ。“これをやってみて、da-da-da-da-duh-duh-duh…”。一種のカウンターリズムのようなものだよ。そのことは忘れていたけど、本当のことなんだ。
彼は僕らに魔法の粉をかけてくれたんだと思う。僕らはシェフィールド出身の駆け出しのバンドだったんだけど、彼はデヴィッド・ボウイなんだからね。スタジオでの1日は最高だった...いつも思っているんだけど、彼は僕らのレコーディングを祝福してくれたんだ。それが僕らの最大のヒット曲になった理由かもしれないね」
フライはまた、曲の終盤でボウイから提案されたものの、最終的に使わなかったアイデアがあったことも明かしています。
「僕は(曲の中で)こう話さなればならなかった。その結果は40年も続いていて、今も時々タクシーに乗ると“マーティン、真実の愛を見つけたかい?”と言われるんだ。僕は、ジェームス・ブラウンやイギー・ポップのような偉大な精神で、(曲の中で)自分の名前を挙げているんだよ。(歌詞で)“ヘイ、マーティン、いつか君も真実の愛にめぐり逢えるよ”と言うのは本当に大胆ことだったんだ。
僕たちは(フライ自身が歌う)これを録音したんだけど、ボウイは“留守番電話のメッセージだったら最高だね”と言っていた。彼は留守番電話にメッセージを残すアイデアを持っていたけど、それは実際にすることはなかった。彼のアイデアを使わなくてもヒットはしたけれど、それをしても素晴らしいものになっただろうね」