Queen Rock Montreal | Experience It In IMAX®
クイーン(Queen) が1981年11月のカナダのモントリオールで行ったコンサートの模様を収めたライヴ映像作品『Queen Rock Montreal(旧題:We Will Rock You)』。今回初めてIMAX用にデジタル・リマスターされ、12チャンネル・サラウンド・サウンドに対応しました。この修復版の公開にあわせ、
ブライアン・メイ(Brian May) が当時を振り返っています。
メイは「予定になかった公演なので、あまりやる気はなかった。スタッフがライヴ撮影未経験だったので問題だらけだった。フレディは“好きなものを着る!”と暴れた。ステージに上がったときもまだ憤慨していたので怒りに満ちた演奏がたくさんあった。VHS版はひどい作品だったので、ずっと悩みの種だった」などと話しています。
そもそも前年のアルバム『The Game』を引っ提げたツアーは、1ヵ月前にメキシコで終了するはずでした。しかし、11月下旬にモントリオール・フォーラムで2公演を行うことになったため、クイーンはモントリオールに到着したとき最高の気分ではなかったという。
「その頃までにとんでもない数のツアーをこなしたので休養を取る時期だったんだ。
残念なことに、僕たちのマネージャーであるジム・ビーチは、モントリオールで演奏する契約を結んでいた。それは僕たちにとって辛いことだった。肉体的に休養が必要だっただけでなく、ギアを入れ直す必要があったから。ツアーを終えて、クルーがみんな別の場所に行ってしまったのに、突然この2公演のためにすべてを元に戻さなければならない。みんな“なんでこんなことするんだろう”と、ちょっとふてくされていたよ」
ジム・ビーチを説得したのは、ジョージ・ハリスンの映画『バングラディシュ・コンサート』を監督したソール・スイマーでした。スイマーの売り込みは、クイーンのライヴをダブル・アナモルフィック35mmで撮影することでした。ダブル・アナモルフィックは、5階建ての巨大なスクリーンに映像を映し出すことができる技術でした。
ふてくされながらもコンサートがモントリオールで行われることは、クイーンのメンバーにとってプラスでした。
「モントリオールは僕たちの大好きな街のひとつで、素晴らしいオーディエンスがいて、とてもエネルギーに溢れている。僕たちはそれまでに3回演奏したけど、いつも本当に熱心な人たちでいっぱいで、僕たちに多くのエネルギーを与えてくれた。だから、その部分は良かった。ひとたびステージに上がれば、素晴らしいものになるとわかっていたからね」
しかし、実際のライヴまでの道のりは険しいものでした。
スイマーが雇ったスタッフは、ライヴを撮影したことがありませんでした。
「彼らは、自分たちがどれほど邪魔で、どれほど破壊的な存在になりうるか、全く知らなかった。彼らはステージのあちこちにカメラを設置し始めた。僕たちはすぐに“これは絶対にうまくいかない”と言った。その後、ステージ上のカメラについて大きな大きな議論があったんだけど、結局解決しなかったんだ」
緊張がさらに高まったのは、2つの公演の映像をカット割り(繋げることが)できるように、バンドは2つの公演で同じ服を着る必要があると映画製作者から知らされたときで、フレディ・マーキュリーはこれに不満でした。
「フレディは完全に暴れて“束縛されたくない。好きなものを着る!”と言っていた。大騒動になった。ジム・ビーチが入ってきて“いいか、フレディ......”と説得しようとした。それで、ジムはバックステージへの出入りを禁止されたんだ。彼は困惑していた。僕は今はね、彼に謝っているよ」
メイによれば、バンドがステージに上がったときも、まだ憤慨していたという。
「僕たちはますます不機嫌になり、その様子は映像でも見ることができる。僕たちはとても、とてもハイテンションで、いくつかのテンポはとても速く、本当に鋭く、怒りに満ちた演奏がたくさんある。フレディを見れば、それがわかると思うよ」
バンドは当初難色を示していたものの、ライヴ自体は大成功を収め、スイマーが撮影したライヴ映像は、バンドの第2幕の絶頂期を捉えたものでした。
このコンサートフィルムは1982年に『We Will Rock You』という名前でVHSとベータマックスで発売されました。
しかし、クイーン自身はこの『We Will Rock You』に不満でした。オリジナルの映像は素晴らしいものでしたが、ビデオテープに転送すると画質が落ち、音楽と映像の間に明らかな同期ミスが時々ありました。スイマーの制作会社が権利を所有していたため、バンドにできることはほとんどありませんでした。
「キャリアのほとんどの期間、それは僕たちの悩みの種だった。決して正しくないものだった。ひどいミックスで、ひどい乾いた音で、観客が写っていないから雰囲気が伝わらない。編集もひどいし、まとめ方も下手で、オリジナルの同期は目視でやっていたから、編集するたびに動いてしまっていた。だから、いつも恥ずかしい思いをしていたんだ」
『Queen Rock Montreal』というタイトルに改題された修復版の新作は、それを修正したものです。メイによると「何カ月も何カ月もかけて」問題を修正したという。
「4人の若い男たちが、すでに何度も世界中を回り、たくさんのレコードを売り、たくさんのヒットを飛ばし、お互いのプレイスタイルも知っている。当時の自分たちを誇りに思うよ」
同時に、フレディ・マーキュリーがいかにユニークなフロントマンであったかを思い起こさせるものでもあるという。
「この映画では、多くの場合、僕らの姿は映っておらず、フレディが映っていることに気づくだろう。当時、それは僕らにとっても困惑の種だったと思う。でも、それは今はとてもありがたい。フレディがいない今、彼の目を通して世界を見れるのは素晴らしいことだよ。フレディとこれほど親密に接することができるライヴの記録は、他にはないと思う。彼の頭の中で起こっていることがすべて見えるし、彼の怒りも不安も、観客を客席の後ろの方まで動かすことができるという意識も見える。僕にとっては、彼を見るのはとても感動的なものなんだよ」
IMAX版は2024年1月18日から4日間、世界中の400以上のIMAXシアターで上映される予定です。残念ながら、現在までのところ、対象地域に日本は含まれていません。
以下は以前に公開された映像
「Another One Bites The Dust」のライヴ映像
VIDEO
トレーラー映像
VIDEO