「デヴィッド・ボウイは現在の音楽業界では失敗していただろう」　ナイル・ロジャースが音楽ストリーミングについて調査する英国下院の特別委員会で演説

ナイル・ロジャース（Nile Rodgers）は、音楽ストリーミングとアーティストの報酬について調査する英国下院の特別委員会で演説し、デヴィッド・ボウイ（David Bowie）は現在の音楽業界では失敗していただろうと語っています。ロジャースは最近のレコード会社は、手っ取り早いバイラル・ヒットを見つけることに集中しているため、最近ではアーティストを育てようとせず、利益を重視していると主張。ボウイはキャリア初期に商業的成功を収めることができなかったため、現代なら、どのレーベルもボウイに世界的ヒット作を制作する時間を与えなかっただろうと語っています。

ロジャースは、世界中のリスナーに音楽を広めることができるストリーミングを「素晴らしい」と評したものの、不適切なアーティストへの支払いが「状況を大きく変えたが、良い方向には向かっていない」と述べています。

ロジャース：
「彼らは彼にヒットを出すための時間を与え、彼は僕を呼び出し、僕たちは“Let's Dance”を作った。（レコード会社は）経済的な責任を負い、いつかはブレイクすると信じていたアーティストを背負っていた。そんな時代は本当に終わったんだ」

同委員会は2021年、ストリーミングをアーティストとソングライターにとってより公平なものにするため、業界全体の「リセット」を求める提言を発表しました。

委員会は2021年、ストリーミングは「レコード音楽業界に大きな利益をもたらしたが、その背後にいる才能ある人々、つまり演奏家、作詞家、作曲家は損失を被っている」と述べていましたが、2年後、進展は遅く、限定的であると述べ、委員会はほとんど変わっていないと主張しています。

委員会の報告書では、Spotifyなどのストリーミング・サービスは、ストリーミングからの収益の30～34％を取り、レコード会社は55％を回収し、残りをレコーディング・アーティスト、出版社、作曲家の間で分配していると推定しています。

ロジャースは、1970年代に経験したことと今日のストリーミング報酬を比較することで、現代のソングライターとアーティストが直面する問題を説明しました。彼は委員会に対し、1977年にシックの最初のアルバムが100万枚売れた後、彼は10万ドルを受け取ったが、スヌープ・ドッグは先週、10億回のストリーミングで4万5000ドルを受け取ったと語っています。

Spotifyの広報担当者は、Spotifyは主にSpotify Premiumの加入者とSpotifyのFreeプランの広告主という2つの収入源から音楽の収益を得ていると述べ、スヌープ・ドッグの主張に対し、「このお金の70％近くは、我々が“ロイヤリティ・プール”と呼んでいる音楽著作権者に支払われています」と述べています。

ロジャースは、アーティストとレパートリー（A&R）に何百万ドルも投資し、大失敗に終わる可能性のあるアーティストに資金を投入しているのだから、ストリーミング収入の大半を占める自分たちの取り分は公平だというレコード会社の主張を否定しました。

ロジャース：
「彼らが完全に時代遅れの、その主張を使い続けていることが本当に嫌いだ。僕は“嘘”という言葉は使いたくないが、これは嘘だ」

ストリーミングの経済学に関する報告書を作成したHyojung Sun博士もこれに同意し、レコード会社が実質的なリスクを負っているという主張を裏付ける証拠はないと付け加えています。また、楽曲管理会社Hipgnosisを設立したメルク・マーキュリアディスは、ファンがどの曲を好むかを知ることができるストリーミング・データがあるため、レコード会社がアーティストに賭けることはないと主張しています。