キース・リチャーズとストーンズのミューズ アニタ・パレンバーグの息子　2人との生活を回想

ローリング・ストーンズ（The Rolling Stones）のミューズ、アニタ・パレンバーグ（Anita Pallenberg）のドキュメンタリー映画『Catching Fire: The Story of Anita Pallenberg』が、BFIロンドン映画祭で上映されました。パレンバーグの未発表の回顧録に基づいた作品で、この上映にあわせて、パレンバーグとキース・リチャーズ（Keith Richards）の息子であるマーロン・リチャーズが、パレンバーグとキースとの生活について英ガーディアン紙で語っています。

パレンバーグは1965年、ストーンズの公演を観に行き、メンバーと知り合い、ブライアン・ジョーンズ（Brian Jones）と交際を始めますが、2年で破局。その後、キース・リチャーズと交際して彼との間に三児をもうけています。パレンバーグは2017年に73歳で亡くなりました。

本作は、ストーンズとの偶然の出会いをきっかけに、1960年代から70年代にかけて一躍有名になったモデル兼女優のパレンバーグの物語です。この映画は、パレンバーグの所有物の中から発見されたリチャーズの家庭生活を撮影したスーパー8フィルムと、リチャーズやマリアンヌ・フェイスフルらへのインタビューなどで構成されています。詳しくはこちら。

マーロンは母親について「彼女はヒッピーというよりアナーキーで、基本的に混乱を引き起こす人だった。当時、美貌と知性を備えた女性の活躍の場はほとんどなかったと思う。彼女は男性に対するパワーだけでなく、知的なパワーも楽しんでいた」と話しています。

なんでも、夫婦のベッドには「警察が来たときに麻薬を隠すための秘密の引き出しがついていた」という。

マーロンは、一家がチェルシーにある俳優ドナルド・サザーランドの家を借りた時のことを回想。リチャーズはここで、ママス＆ザ・パパスのジョン・フィリップスのアルバム『Pay Pack & Follow』を録音しました。「レコーディングから戻ってきた父が階段にいると、母がライビーナ（※清涼飲料水）のボトルを父に投げつけた。数インチの差で外れた。壁には大きな紫色の斑点がそのまま残った。父はスタジオに引きこもり、ドアに鍵をかけた。父の名誉のために言っておくと、父はあまり反応しなかったんだ。彼はやられ続けた」

バンドの神話では、パレンバーグはまずブライアン・ジョーンズと付き合い、その後モロッコに向かう途中でリチャーズに助けられ、関係を持ったと語られています。しかし、それで終わりではありませんでした。パレンバーグは映画『パフォーマンス/青春の罠』の撮影中、しばしばミック・ジャガーのベッドの中で過ごしていました。映画撮影中のパレンバーグとジャガーの密会は、リチャーズのある反応を引き起こしました。パレンバーグは回顧録の中で、それは沈黙だったと書いています。「すべての中で最も恐ろしい反応だった」とも書いています。

70年代初頭、一家はフランスに住みますが、その後、パレンバーグとマーロンはニューヨーク北部に住み、ストーンズの世界から離れます。

マーロンは「70年代半ばになると、母はヘロインでかなりハイになり、めちゃくちゃになって切り捨てられた。彼女は自分の魅力を失ったように感じていた。子供が2人いて、家でじっとしているなんて、彼女らしくない。だから彼女はみんなに暴言を吐いた」と振り返っています。

一方、リチャーズはツアー中、反逆者のイメージを膨らませていました。

マーロンは「彼にとって、それはとても魅力的なことだった。彼はロックスターだ。人々は剣闘士に求めるものを、ロックスターがそのように振る舞うことを望んでいる。彼らは7、8年間ジャンキーだったのに、時代を象徴する人物になったんだ」と話しています。

当時マーロンは学校への入学を拒否されて、からかわれたという。

「“クソヤク中め”か、“ああ、君の両親は超クールだね ”のどっちかだった」「ストーンズやバンドメンバーの誰かを責めるのは難しい。でも、そういうことは実際に起こっており、ストーンズの周りにいる他の女性たちが巻き添えになるのを見てきた。ストーンズの組織の人たちは、その人のことではなく、バンド・メンバーのことを考えていたんだ」

マーロンは嬉しかった出来事として、2019年にロンドンにある母親のアパートを掃除していたとき、彼女の名前がプレートに書かれたストーンズのベスト・アルバムのプラチナディスクを見つたときのことを話しています。

「プラチナ・レコードを手に入れるには、よっぽどの関係者でなければならない。彼女はそれを戸棚に隠していた。誰かが彼女が何かをしたことに気づいていたんだよ」