冷戦時代、ソ連(ロシア)国民が聴くことのできる音楽は、国家によって厳しく統制されていました。
ビートルズ(The Beatles)も“禁じられた音楽”でした。
ポール・マッカートニー(Paul McCartney)によると、ビートルズは、ロシア人たちが自分たちの“禁じられた音楽”を密かに聴いているという“アイデアが大好きだった”という。ポッドキャスト『McCartney: A Life In Lyrics』に出演したポールは、ロシアで西側諸国のレコードを所持することも放送することも禁止されていた時代を振り返っています。
「ビートルズの時代まで遡ると、ロシアでは誰もがレコードを密輸したり、小さな部屋で誰にも知られずに聴いたりしなければならかった。当局に、この禁断のグループを聴いていることを知られたくなかったんだ。僕たちは本当に、そのアイデアが大好きだった。リーバイスのジーンズと一緒に密輸されたんだ。それは真の文化の到来のようなものだった」
ポッドキャストの司会者ポール・マルドゥーンが「アートは危険だ」と話すと、ポールはこう答えています。
「一部の人々にとってはね。僕たちはいつも、自分たちは正しい側にいると考えていたし、もし僕たちが危険なら、それはロシア当局にとって危険な存在であるということであり、ロシア当局はそれほど優秀ではないと僕たちは考えていた。僕たちはそう感じていたし、彼らが西側諸国の影響力を抑え込もうとしていることは、かなりの程度、事実だと思うし、それはずっと続いている。一時期は、ああ、もう大丈夫だと思った時期もあっただろうけど、実際には抑圧が大きく復活している。今は、多くの国でフリーパスが与えられているようなもので、誰もが刺激を受けて、そんなことはしないでくれと言っているようなものなんだ。でも、その背景にある政治や現実がどうなっているかは、神のみぞ知っているんだよ」