The Rolling Stones / Hackney Diamonds
ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の新アルバム『Hackney Diamonds』をプロデュースした
アンドリュー・ワット(Andrew Watt)は、そのプロデュース・ワークを米ビルボード誌のインタビューの中で振り返っています。
ワットは最近、ジャスティン・ビーバーやカミラ・カベロといったポップ・スターのヒット曲を生み出す仕事から、ストーンズ、オジー・オズボーン、エルトン・ジョン、イギー・ポップといったロック界のレジェンドのプロジェクトを導く仕事へと移行してきました。レジェンドとの仕事についてワットは「大学に行って巨匠から学ぶようなものだよ」と言っています。
『Hackney Diamonds』は、パンデミックの最中にドン・ウォズからミック・ジャガーを紹介され、フェイスタイムで親交を深めたワットにとって、まさに“死ぬまでにやりたいことリスト”のような体験でした。
2005年の『A Bigger Bang』以来となるストーンズのオリジナル・アルバムの制作は、何年もの間、何度も頓挫し、デモもスクラップされてきましたが、ジャガーはワットにゴールを通過する手助けをしてくれないかと頼みました。
ワットは「“自分にそんなことができるのだろうか?”と思った瞬間があった。キース・リチャーズに憧れて育ったギター少年として、この上ない名誉だよ」と話しています。
ワットは『Hackney Diamonds』をプロデュースしている間、毎日違うローリング・ストーンズのTシャツを着てスタジオに通っていたという。
「ジャガーが魔法をかけるのを見て、興奮で飛び上がらないわけがないよ」と話すワットですが、目の前にある課題は理解していました。「このレジェンドたちは誰にも借りはない。彼らが新しいアルバムを作る唯一の理由は自分たちのためだ」を念頭に置いて、ワットはバンドにさまざまなアイデアを勧めたという。
ミック・ジャガーのヴォーカルをプロデュースする醍醐味は、彼が服を脱ぎ始めるときだという。
「(ミックは)最初はセーター、そのあとにボタンダウン、Tシャツという感じなんだ。2テイク目でセーターを脱ぐ。その2テイク後にはボタンダウンを脱ぐ。突然、Tシャツ一枚になった彼(の体)は引き締まっている。彼は80歳だ。一音一音歌いながら震え、汗をかきながら、本格的なミック・ジャガーを聴かせてくれるんだ」
そのありのままのエネルギーこそが、ワットがアルバムで表現しようとしたものであるという。
「ファンなら誰でも、史上最高のロックンロール・バンドをありのままの姿で聴きたいはず。だから、スタジオで彼らと他のことをするのは、みんなを失望させるだけだ」とワットは話しています。
ワットによると、このアルバムの大半は6ヶ月足らずで完成させたそうで「他の現代の音楽と並べても違和感がなく、それでいてルーズで、あるところでは本当にグルーヴする」ものになっているとのこと。