パット・メセニー(Pat Metheny)は当初、トランペット奏者でしたが、『エド・サリバン・ショー』で
ビートルズ(The Beatles)を見てギターに惹かれて転向したという。「エレキギターを単なる楽器ではなく、世界がどのように変わろうとしているかを象徴するものとして見ていた」と米WHAM-TVの最近のインタビューの中で話しています。
「家族全員がトランペット奏者なんだ。兄のマイクは素晴らしいトランペット奏者。父は大学時代の優秀なトランペット奏者だった。祖父はプロのトランペット奏者だった。
僕も8歳くらいからトランペットを始めた。僕の知る限り、僕の名前は“マイク・メセニーの弟”だった。兄はとても有名なトランペット奏者だったからね。もちろん、弟は、そう呼ばれるのを好きではないわけだよ」
トランペットをやめてギターに転向することを決めた瞬間について、メセニーはこう話しています。
「ちょうどその頃、ビートルズが『エド・サリヴァン・ショー』に出演した。僕は、他の1兆人の人々と同じように、エレキギターを単なる楽器としてではなく、世界がどのように変わろうとしているかを象徴的に表しているものとして見ていた。そして、実際にそうなった。僕がギターに惹かれるようになったのは、そのおかげなんだ」
ジャズが好きになったきっかけを尋ねられたメセニーは、マイルス・デイヴィスのアルバムがきっかけだったと話しています。
「何かを好きになると、それがどう作られるのかを知りたくなるのは、昔からごく自然なことだった。僕が11歳くらいのとき、兄がマイルス・デイヴィスのアルバムを持って帰ってきた。それがマーチングバンドの音楽とか、ビートルズとかと何が違うのか、本当に知らなかった。(情報は)レコードプレーヤーで再生できるレコードの音楽だけだった。そして、すぐに気に入った。
どうなっているんだ? 魅力的だった。それは(僕の音楽も)同じようなもので、“これはジャズだ。これはロックだ。これはクラシックだ”とは思わない。僕にとっては、ただの音楽なんだ。僕にとって、音楽を理解しようとすることは、本当に小さな子供の頃から、ずっと大切なことなんだ」
「音楽を理解する」とはどういうことかと問われ、メセニーはこう付け加えています。
「音楽は普通でないもので、見ることはできないし、匂いも味もわからない。でも、部屋に入ったとき、バンドが演奏していたり、シンフォニーが演奏されていたりしたら、それは素晴らしいものなんだ。
音楽に敏感な人なら誰でも“なに? 何が起こっているの?”と反応するだろう。“聴き手に何をもたらしてくれるのか、そしてそれを他の人たちに提供することができるかもしれない”、僕はまだそれを解明しようとしている」