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10cc『Deceptive Bends』 メンバーのグレアム・グールドマンが制作を振り返る

2023/06/01 16:08掲載
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10cc / Deceptive Bends
10cc / Deceptive Bends
10ccが1977年にリリースしたスタジオ・アルバム『Deceptive Bends(邦題:愛ゆえに)』。このアルバムの制作をメンバーのグレアム・グールドマン(Graham Gouldman)が米Goldmine Magazineのインタビューの中で振り返っています。

1976年10月に4人の中心メンバーで最初のレコーディング・セッションが始まったものの、メンバー間の緊張が高まり、ケヴィン・ゴドレイとロル・クレームは独自のレコーディング活動を行うために脱退し、ゴドレイ&クレームを結成します。

残ったエリック・スチュワートとグレアム・グールドマンはグループを存続させ、アルバム『Deceptive Bends』の制作を続けました。

グールドマン:
「彼らはギズモを開発し、それをフィーチャーしたアルバムを制作していた。そして、そのアルバムが3枚組になった。僕たちはレコーディングしてツアーに出るという約束をしていたんだけど、彼らはそのアルバムを作ることにもっと興味を持っていたし、それと同時に、作曲、レコーディング、リハーサル、ツアーという一連の作業に飽きてしまったんだよ。一方、エリックと僕は、それをするのが大好きだったんだ」

レコーディング・セッションは、イギリスのサリー州にあるバンド所有のストロベリー・スタジオ・サウスで再開され、1977年3月まで続けられました。1976年のクリスマス前にはシングル「The Things We Do for Love(邦題:愛ゆえに)」をリリースしました。

グールドマン:
「この曲を書いているとき、エリックは自殺について書こうとしていた。僕は、そのテーマで曲を書くのは良くないと思ったし、音楽的にも僕らが持っているメロディに合うとは思えないと言った。エリックのその気持ちは長くは続かず、すぐに光が見えてきたようだった」

このシングルは、最終的にアメリカのビルボードホット100チャートで5位、カナダのチャートでトップになり、2人にとって前進するための士気を大いに高めることになった。10ccにとっては、ゴドレイとクレームの脱退後、バンドを“5cc”と揶揄していたマスコミに対して、中指を立てたような作品になりました。

グールドマン:
「この曲のアイデアは、僕が曲作りの中でよく使ってきた手法なんだ。60年代にホリーズやハーマンズ・ハーミッツのために曲を書いていたときも、このアイデアが好きだったんだ。ビートルズからインスピレーションを受けていたことは認めるよ」

レコーディング・セッションが終わると、2人はヒプノシスを起用し、アルバム・カヴァーのデザインに取りかかります。

グールドマン:
「僕たちがしたことは、まずアルバムのタイトルを彼らに伝えた。それから彼らにアルバムを聴かせた。彼らは2~3週間かけて聴き込み、その世界に入り込んでいった。その後、彼らはスタジオにやってきて、スタジオをアート展に見立てて、さまざまなコンセプトの作品を展示し、最終的にアルバムの雰囲気に合うものを選んだ。彼らはいつも、僕らがアルバムでやっていることを視覚的に反映してくれていると感じていたよ」