デフ・レパード(Def Leppard)のヴォーカリスト、
ジョー・エリオット(Joe Elliott)は、8歳の子供から「なぜデフ・レパードのシンガーはフィル・コリンではなく、あなたなの? 彼の方がもっとクールだ」と尋ねられて回答しています。英サイトLouder Than Warのインタビューより
Q:この質問は私の8歳の子供からのものです。あなたはPlanet Rockの番組で素晴らしいバンドをたくさん紹介してくれたので、私もうちの子にあなたの音楽をいくつか紹介しました。うちの子は、フィル・コリンではなく、なぜあなたがシンガーになったのか、その理由を知りたがっています。うちの子は、フィルの方がもっとクールだと言っています。
「フィル・コリンは、おそらく僕よりもずっと良いシンガーだと思うよ。彼は非常にクールだ。僕はこのバンドで一番歌が下手だと言ってきたけど、フロントマンとしては最高だといつも言っている。僕が書いた“We Belong”という曲を聴いてもらえばわかると思うけど、あれは全員がリード・ヴォーカルを歌うために書かれた曲なんだ。
バッキング・ヴォーカルについては、サウンド・マンの隣でテープについて尋ねてくる人がいる。みんな口を揃えてこう言うんだ、“ありえない”。このバンドはみんな歌えるんだよ。
僕がシンガーになったのは、1977年の8月のある夜、ピート・ウィリスとばったり会って、僕に対してギタリストとして一緒にバンドをやろうという話になったからなんだ。彼は、すでにいるけれども、シンガーを探しているとも言っていた。
当時は(シンガーのことを)知らなかったけれど、いきなり新しい世界に飛び込んで、すぐに泳げるようになるために学んだ。“オーディションを受けて、ジェフ・スコット・ソートのような素晴らしいシンガーになるんだ”と何年も何年も練習してきたわけではないんだ。僕の好きなシンガーはいつも純粋なシンガーではないと思われる人たちだったから、僕はただそれを目指した。最大限の敬意をもって (これは褒め言葉としての意味合いが強い) アリス・クーパー、イアン・ハンター、ヘヴィメタル・キッズのゲイリー・ホルトン、ハノイ・ロックスのマイケル・モンロー、ジェスロ・タルのイアン・アンダーソンなど...彼らはポール・ロジャースではないし、ロバート・プラントでもないし、フレディ・マーキュリーでもないし、ルー・グラハムでもないし、スティーヴ・ウォルシュでもない。そういう人たちではないんだ。
とはいえ、僕はポール・ロジャースやロバート・プラント、サミー・ヘイガー、スティーヴン・タイラーなど、そういう人たちが大好きだよ。彼らは今でも当時と同じように聴こえる。でも、俺はシャウトすることを勧められた。俺が本当にシンガーになったのは『Top Of The Pops』でエディ&ザ・ホット・ロッズを観たから。セックス・ピストルズやジョー・ストラマーを聴いたこともあったし、“あいつにできるんだったら、俺にもできる!”と思ったんだ。
だから、イエスのジョン・アンダーソンのようなサウンドを求めるような、僕にとってはあまりに学校的な考え方はなかった。ただバンドに入りたかっただけで、ドラムでもベースでもリズムギターでも、何でもよかったんだ。結局、シンガーになったんだけど、そういう意味では、ずっと音楽的だった。8歳のときに母親からギターを教わり、その半年後に初めて曲を書いた。
ここでボブ・ディランと自分を比較するのは、作家としての観点ではなく、自分のビジネスの進め方においてなんだ。彼はエディ・ヴァン・ヘイレンのような演奏を学ぶことはなかった。彼は“Blowing In The Wind”や“Hurricane”のメロディを書くのに十分なギターを弾いただけで、それは目的を達成するための手段だった。例えば、俺らの曲“Two Steps Behind”は、元々はエレクトリック・デモとして作ったんだけど、フィルが“必要最低限なものだけにしてくれ”と言った。アコースティック・ヴァージョンとしてより良いサウンドになるように削ぎ落とされているという事実は、誰もが言うように、アコースティックで演奏できるのであれば、それは良い曲だということを証明してくれている。
子供の頃は合唱団で歌っていた。でも、声が出なくなってからは、バンドのオーディションを受けるまで、本当に歌ったことがなくて、歌い始めるまで6週間ほどかかった。その時までに歌えるようになってよかったよ。『On Through the Night』では歌はうまくないけど、そのあと、うまくなったし、それがこのバンドの特徴だと思う。俺らはボストンやヴァン・ヘイレンとは違って、エルトン・ジョンやデヴィッド・ボウイのように時間をかけて築き上げてきたわけで、4枚目のアルバムでブレイクしたんだ」
「チャック・ベリーといえば、まず最初に思い浮かべるのはギターリフと、ダックウォークだろうね。みんな、彼がどれほど驚異的な詩人であったかを理解していない。彼の歌詞は素晴らしい。俺に言わせれば、彼はギタリストとしてはまあまあだった。彼は驚異的な作家であり、特に作詞家だったけど、そのことは決して考慮されない。
ワインを何杯か飲んだ後にこの議論をよくする。エルトン・ジョンは歌うピアニストなのか、それともピアノを弾くシンガーなのか。ジミ・ヘンドリックスは、歌うギタリストなのか、ギターを弾くシンガーなのか。ジミ・ヘンドリックスはシンガーとして非常に過小評価されていると思う。彼の演奏は決して声の邪魔にならなかった。彼は行間を縫って演奏していた。だから、デフ・レパードの“Rock Of Ages”を聴くと、ヴァース(※歌のサビに入るまでの導入部分)にはギターがなく、ヴォーカルのためのスペースがあるんだよ」