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10ccの元マネージャー、ニール・セダカが10ccの結成に関わった逸話を語る

2023/03/28 14:27掲載
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10ccの元マネージャー、ハーヴェイ・リスバーグは回顧録の中で、ニール・セダカ(Neil Sedaka)が10ccの結成に関わったという逸話について語っています。抜粋がBest Classic Bandsにて公開されています。

回顧録『I'm Into Something Good: My Life Managing 10cc, Herman's Hermits and Many More!』は英国で3月30日、米国で5月18日に発売されます。

リスバーグは、モンキーズの仕掛け人として知られる、米国の音楽プロデューサー、ドン・カーシュナーとの交流によってニール・セダカと知り合い、セダカは1971年に「Amarillo」をヨーロッパでヒットさせます。当時、人気が低迷していたセダカですが、このヒットは復活の足掛かりとなりました。

カーシュナーからセダカが新しいアルバムのレコーディングを準備していると伝えられると、リスバーグはある提案をします。

「ドニー(※ドン・カーシュナーの愛称)、ニールを私たちのところに送り込んだらどうだろう。君も知っているグレアム・グールドマンと、素晴らしいミュージシャン3人がいて、彼らは自分たちのスタジオを持っている。彼らはニールの大ファンでもあるし、彼らならいい仕事ができると思うんだ」

幸いにもニールは英国での小さなツアーを控えていたので、カーシュナーはこの提案を了承します。

以下、回顧録より

「その年の2月、ニールはストロベリーに立ち寄って彼らに会い、サウンドがどんなものか確かめた。彼らはみんな仲良くなった。数日後、グレアムはバトリー・バラエティ・クラブで行われた彼のパフォーマンスを見に行き、彼が録音しようと考えていた曲を聴いた。彼は、セッションが始まる前にコード譜を作っておきたいと思っていた。

その月の終わりに、1959年から1963年の間に4000万枚ものレコードを売り上げた男、ニール・セダカが、新曲を録音するためにストックポートに到着した。当初、彼はデモを録音する予定だったのだが、すぐに変更になった。ニューヨークのセッション・ミュージシャンを使うのではなく、ストロベリーでアルバムの全てを作ろうと決めたのです。セッションは見事に成功した。“I Go Ape”“Calendar Girl”“Breaking Up Is Hard to Do”“Oh!Carole”(どれも名曲だ)を次々に演奏してウォームアップすることもあった。彼はまだ実力があり、究極のプロフェッショナルだった。彼はニューヨークのジュリアード音楽院に通っていて、完璧な音楽家だった。

すべてがファーストテイクで、ハーモニーも完璧だった。彼の曲なので、彼が原動力であることは間違いないのだが、みんながいいアクセントを加え、想像力豊かなアレンジや、あちこちにちょっとした工夫を加えた。エリック(スチュワート)がエンジニアとしてコントロールルームに入り、グレアムとロル(クレーム)がギターを、ケヴィン(ゴドレイ)がドラムを担当した。彼らはお互いを補い合い、とてもうまくいった。ニールは、社会的にも音楽的にも、彼らと一緒にいて、とても心地良かった。ニールは自分が良い状態にあることに気づき、それは彼らへの大きな賛辞となった。

週末になると彼らは休みを取り、日曜日には私はニールと妻のレバが滞在しているミッドランド・ホテルに会いに行った。時々、彼が家に来て、コーヒーとスモークサーモンとクリームチーズのベーグルを皿一杯分作ってあげた。彼はそれが大好きだった(彼はわざわざアルバムのスリーブに“コーヒーとベーグル”のお礼を書いた)。アルバムは『Solitaire』というタイトルで、わずか2週間でレコーディングした11曲の新曲のうちの1曲のタイトルだった。RCAからリリースされたこのアルバムは、ニールにとって10年以上ぶりのヒットアルバムとなった。3枚のチャート・シングルを獲得し、最も人気があったのは“That's When the Music Takes Me”だった。

彼は、キャロル・キングやジェイムス・テイラーが始めたシンガーソングライターの一派のひとりとして、新しいニッチを見つけた。彼はとても満足し、翌年、ストロベリーに戻ってきて、その次の作品『The Tra-La Days Are Over』(1961年のヒット曲「Happy Birthday Sweet Sixteen」にちなむ)を制作した。

『Solitaire』のセッションは、ニール・セダカのキャリアを再スタートさせるだけでなく、私たちにとってもっと大きな意味を持つことになった。アルバムのレコーディングが終わった後、ニールは彼らにこう言った。“君たちは本当に良い。いい仕事をしたね。自分たちで何かやってみたらどうだい? 君たちは十分に優秀だ”。ビートルズ以来、最も独創的でメロディアスで革新的なイギリスのバンド、10ccが誕生しようとしていたのだ」