デヴィッド・ボウイが73年1月に英TV番組で披露した「The Jean Genie」　長年行方不明だった映像を所有していたカメラマンが逸話を語る

デヴィッド・ボウイ（David Bowie）が1973年1月に英BBCのTV番組『Top of the Pops』で披露した「The Jean Genie」。当時の放送用ビデオテープは非常に高価のため、BBCは経費節減のため、テープを何度も上書きして使いまわしていたため、このパフォーマンスの映像は永遠に失われたように見えましたが、それから38年後の2011年、ある偶然によってテープが見つかります。当時はBBCのニュース番組でも取り上げられるほど大きな話題となったこの発見。このテープを所有していたジョン・ヘンシャルが、このパフォーマンス映像にまつわる逸話をSNSに投稿しています。

ジョン・ヘンシャルは、このパフォーマンスを撮影したカメラマンでした。撮影した日から、ちょうど50周年を迎えたことにあわせて投稿しています。

「ちょうど50年前の今日...。

1973年1月3日、私はBBCテレビセンターのTC8スタジオで、ロン・グリーンのクルー7と一緒に『Top of the Pops』の仕事をしていた。 私たちは、翌日1973年1月4日の放送のために、デヴィッド・ボウイが“The Jean Genie”をライヴ演奏するのを事前収録していた。

プロデューサー兼ディレクターのジョニー・スチュワートは“魚眼レンズで撮影して欲しいんだけど、あるかな？”と尋ねてきた。彼はもちろん、私がテレフェックス社の魚眼レンズをサプライヤーであることを知っていた。結局のところ、このレンズの導入と使用は、ほとんど彼によるアイデアだったのです。

私は“いいえ、でも、5分後には手に入りますよ”と答えました。

“OK、お茶にしよう”

私は、急いで車に乗り込み、テレビセンターの裏の道路に駐車し、Telefex Fisheye 3レンズを取り出し、トランクを閉めた。そこで“自分のカメラでは、初めてこれを使うな。ジョニーなら録音してくれるかな？”"と思った。他の人がこのレンズを使うときは、魚眼の特徴である遠近感の歪みを見せるために、十分な距離まで近づかないのが普通だった。これは私にとって大きなチャンスだったので、私はトランクを再び開け、以前にサザン・テレビジョンに、ジョン・ジャンキンの午後の番組で私のテレフェックス効果を録画してほしいと頼んだときにもらった、直径8インチの2インチ幅のビデオテープ“2Gスプール”を取り出した。

(それから数年後の）2011年9月18日、私はBBC Radio 2の『Sounds of the 70s』でDJのジョニー・ウォーカーから1970年代にやっていたことについてインタビューを受けていた。そのとき、たまたま1973年に『Top of the Pops』でデヴィッド・ボウイが“The Jean Genie”を演奏した時の録音を持っていると言った。

翌日、行方不明テレビ番組を調査しているレイ・ラングストンから連絡があり、テレビ画面にホームムービーカメラを向けて撮影したのかどうか尋ねられた。サイト“Missing Episodes”のローレンス・パイパーが、『Sounds of the 70s』で私が言及したことを彼に知らせていた。

私は、あの象徴的なボウイのパフォーマンスがBBCによって消去され、熱狂的なファンが自宅で撮影されたものを精力的に追跡していることを知りませんでした。私は“自宅録音”以上のものを持っていた。2インチの放送用ビデオテープに収録され、しかも理想的な状態で保存されていたため、完璧な品質でした。

(以上は、2023年8月5日にロンドンのサウスバンクにあるBFIで開催されるカレイドスコープ35周年記念イベントで出版予定の拙著『Papa Shoots Mummy Dyes』からの抜粋である)」

以下はパフォーマンス映像