アビー・ロード・スタジオに関する新たなドキュメンタリー『If These Walls Could Sing』は、9月初頭のテルライド映画祭でプレミア上映されました。この作品はDisney+で配信されることが決定しています。配信日はまだ発表されていません。
監督は
ポール・マッカートニー(Paul McCartney)と
リンダ・マッカートニー(Linda McCartney)の娘である映画監督/写真家の
メアリー・マッカートニー(Mary McCartney)。制作はユニバーサル・ミュージック・グループが最近立ち上げた制作会社マーキュリー・スタジオです。
Varietyによると、メアリーはプロデューサーのジョン・バトセックからアビー・ロード・スタジオについての映画を作らないかと持ちかけられたとき、すぐにはそのチャンスに飛びつかなかったという。
「自分の名字のせいで、少し過敏になっていたと思う。私は以前は、自分の家族に関わることを避け、写真で名を上げたいと思っていました。いつも家族を誇りに思っていますが、最近になって、批判されているような気がしても尻込みしてはいけないと思うようになりました。以前は“家族は家族、キャリアはキャリア”と思っていましたが、今ではその2つを統合する自信があります」
このドキュメンタリーには、ポール・マッカートニー、
リンゴ・スター(Ringo Starr)、
ケイト・ブッシュ(Kate Bush)、
ピンク・フロイド(Pink Floyd)のメンバー、
エルトン・ジョン(Elton John)、
ジミー・ペイジ(Jimmy Page)、
ジョン・ウィリアムズ(John Williams)らのインタビューも収録されています。
父親ポールとのインタビューについて、Varietyは、ポールのインタビューはいつも魅力的だが、彼女と一緒にいるときは20%増量しているように見えるといい、メアリーも同意見だと伝えています。「私もそう思いました。インタビューするときって、その人がどんな気分で来るかわからないじゃないですか。でも、父はアビーロードに対してとても情熱的で、特にそこで働く人たちや彼らがいかに素晴らしい技術者であるかを語るのがとても上手でした。だから、父にとってたくさんの思い出があるこの場所のために声を上げようと、20%余分に与えたのかもしれません」
リンゴ・スターは『White Album』の「Yer Blues」が、ビートルズがこれまでに録音した中で最も好きな曲のひとつだという。スタジオの膨大な開発技術を活用したからではなく、むしろその逆で、グループは倉庫に引きこもってより厳しい練習をしたからだと回想しています。
ロジャー・ウォーターズ、デヴィッド・ギルモア、ニック・メイソンはピンク・フロイド『The Dark Side of the Moon』の制作秘話を語っています。
ケイト・ブッシュは、音声のみですが、こういった作品では珍しく出演しています。メアリーは「ケイトが参加しているなんて、すごいわよ。ここでサード・アルバムを制作し、ビデオも監督したからね。私は彼女と連絡を取りました。彼女はインタビューには応じないのですが、アビー・ロードには本当に愛着を感じていることは知っていたので、時間をかけて交渉して、オーディオを送ってくれることを快く応じてくれました。この空間について語る彼女の声は、とても特別なものです」と話しています。
ジミー・ペイジは、10代の頃にアビーロードのセッション・ギタリストだったこと、「Goldfinger」のセッションでほぼ最前列で演奏し、シャーリー・バッシーが文字通り倒れるまで口ずさむの見て驚いたことについて語っています。
エルトン・ジョンは、最も有名なアルバムをここで録音したわけではありませんが、スタジオ・ミュージシャンとして、「He Ain't Heavy, He's My Brother」などのヒット曲でピアノを弾いていた頃を思い出します。エンドクレジットでは、ポールと電話をして、60年代にスタジオで偶然会ったことが、それまでの人生で最高の瞬間だったと語っています。
ジョン・ウィリアムズはこのドキュメンタリーで重要な役割を担っており、このスタジオがその歴史の大半をクラシック音楽ビジネスで、その後映画音楽で占めていたことを表しています。ウィリアムズはアビー・ロードの音響設備の特徴を最も雄弁に語っています。