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アントン・コービン、デヴィッド・ボウイとマイルス・デイヴィスの写真についての逸話語る

2022/01/27 16:41掲載
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David Bowie, Chicago 1980、Miles Davis, Montreal 1985 (c)Anton Corbijn
David Bowie, Chicago 1980、Miles Davis, Montreal 1985 (c)Anton Corbijn
著名なロック・フォトグラファー、アントン・コービン(Anton Corbijn)は、1980年に撮影したデヴィッド・ボウイ(David Bowie)の写真と、1985年に撮影したマイルス・デイヴィス(Miles Davis)の写真についての逸話を、英ガーディアン紙のインタビューの中で語っています。

■デヴィッド・ボウイ、シカゴ、1980年

「NMEのメインフォトグラファーとして働いていた僕は、ロンドン東部のスクワットに引っ越したばかりだった。NMEのアンガス・マッキノンがシカゴでデヴィッドにインタビューすることになっていたんだけど、カメラマンの同行は許可されなかったんだ。ありがたいことに、僕は両親から調理器具を買うお金をもらっていたので、それを飛行機代に充てて、そのままインタビューに参加したんだ。800ポンドかかった。当時の僕にとっては大金だったけど、人生冒険していると報われることもあるんだよ。

ボウイのアシスタントは“ここで何をしているの?写真は撮らないという約束だったのに”と言った。

幸運なことに、デヴィッドが一度オランダを訪れたとき、僕はポートフォリオ(作品集)を彼のホテルに置いていったことがあったんだ。翌日、“ありがとう”と書いたメモと一緒にポートフォリオが返ってきたんだよ。

アシスタントにそのことを伝えると、彼女は自分のノートを見て、“オランダのベストフォトグラファー アントン・コービン”と走り書きしていたことに気づいたんだ。だから、僕にはチャンスがあった。彼女がデヴィッドに伝えると、彼は許可してくれた。とても親切だったよ、実際にはステージ衣装を着ている彼の写真を撮ることは許されていなかったんだから。

撮影は短時間で終わったんだけど、次の日にバーで会って、もっと撮影した。彼は素晴らしい人で、紳士的で、面白くて、しかも、とても容姿端麗で美意識の高い人だった。ジュークボックスがあって、彼がフランク・シナトラの“That's What God Looks Like To Me”をかけていたのを覚えているよ。

これは僕のお気に入りの写真のひとつ。単なるボウイのショットではなく、キリストのようなものだ。写真を撮るときに望んでいるのは、それが普通のものを超越しているということなんだ。これは彼のおかげ。美しいまなざしだよね。彼は何を考えていたのか? 僕にはわからない。たぶん、“ビールを飲みたい”とか」

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■マイルス・デイヴィス、モントリオール、1985年

「マイルスはリチャード・クックのインタビューを受けていて、僕は写真を撮らずに同席することを許された。彼はリチャードにあまり親切ではなかった。彼は質問に答えるたびに“君の名前は何だったかな?”と言っていた。翌日、ホテルの一室で5、6分、彼と撮影をした。彼は自分の描いた絵をくれたんだけど、それがすごく良かった。今でも持っているよ。

マイルスはとても美しい人だった。ここでの彼の視線はとても強烈。それが彼の生き方なんだろうね。この写真は彼の人生の後半、彼がとても苦しんでいたときに撮ったものだ。彼は瞳孔に影響を及ぼすヤギの血清を注射した。それがこの写真の印象的なところなんだ。彼の瞳孔は見たこともないほど大きいんだよ。

マイルスがロナルド・レーガンとホワイトハウスで夕食をとったときの有名な話がある。(ロナルドの妻)ナンシーが“あなたは何をしてここに招待されたの?”と言うと、マイルスはこう答えた。“俺は音楽の流れを5回変えた。大統領とのセックス以外に何をしたんだ?”。本当かどうかわからないけど、僕はこの言葉が好きなんだ。

僕はいつも利用可能な光を使うので、窓の近くで撮影した。マイルスがなぜこのポーズをとったのかは覚えていないけど、彼はこのポーズを気に入り、アルバム『Tutu』に使いたいと言ってきた。しかし、ワーナー・ブラザーズは、有名な写真家が撮影したものでなければならないと言い、僕はその資格がなかったんだ。そこで、アーヴィング・ペンに依頼したんだ。ペンが撮影した写真はとても気に入っているけど、どこからインスピレーションを受けたのかはおわかりでしょう。

マイルスはとても強くて強烈な顔をしているよね。とても美しい。僕を撮影する多くのカメラマンは、僕に同じポーズをとるように言う。でも、僕にはその半分もできないよ」