音楽を感じろ デジタル時代に殺されていく音楽を救う二ール・ヤングの闘い。
ニール・ヤング(Neil Young)の著書『To Feel the Music: A Songwriter’s Mission to Save High-Quality Audio』の日本語版『音楽を感じろ デジタル時代に殺されていく音楽を救う二ール・ヤングの闘い。』。その詳細が発表されています。
■『音楽を感じろ デジタル時代に殺されていく音楽を救う二ール・ヤングの闘い。』
著者 ニール・ヤング&フィル・ベイカー 翻訳 鈴木美朋
発行 ストランド・ブックス
発売 河出書房新社
ジャンル 音楽
建頁 本文/1c×1c =314P
判型 A5判・上製
発行予定 2020年8月9日
定価 3,000円(+税)
<内容>
ニール・ヤングの、音そのものへの限りない愛。それに圧倒される。
──曽我部恵一(サニーデイ・サービス)(巻末「解題」も)
スティーヴ・ジョブズ(アップル)、イーロン・マスク(テスラ)らに無碍に扱われながらも、自ら高音質プレイヤーを開発し、さらにサイトで画期的なハイレゾ配信を始めたのはなぜか。先達の音楽作品を未来に継承するため、二ール・ヤングが守ろうとする音楽のあり方とそれに関わる闘いの記録!
巻末に、サニーデイ・サービスの曽我部恵一による解題原稿収録!
「本書には、わたしが少人数のチームとともに実現可能な解決策の見本ともいえる技術を開発し、市場に出すまでが記録されている。ハイレゾ音源ダウンロードサービスと専用プレイヤー〝PONO〟はわたしの最初の労作だ。わたしは仲間たちとともに、最高の音質の音楽を手頃な価格で多くの音楽愛好家に届けることは可能なのだと、業界に証明してみせた。とはいえ、われわれの努力はそこで終わったわけではない。はじまったばかりだった」(二ール・ヤング「はじめに」より)
*『To Feel the Music: A Songwriter's Mission to Save High-Quality Audio』by Neil Young&Phil Baker(BenBella Books/2019年9月刊)の日本語版である。
■概要
ニール・ヤングは、あるきっかけを機に音楽を高音質でどんな人にでも広く聴いてほしいと考え、PONOミュージックという会社を設立して高音質(ハイレゾ)プレイヤー=PONOを開発、最終的に発売にこぎつけるのだが、そこに至るには茨の道の連続であった。そして、あるビジネス的な事情でPONOを継続できなくなり、この経験を生かす中で、自らのHP〈NEILYOUNG ARCHIVES〉を開設、適正価格の高音質配信という「未来」を発見する……。
本書は──二人の異なった視点から上記が語られていく。
一つは、なぜハイレゾ音源を残すことが必要なのか、なぜ高音質プレイヤーPONOを自分で作るしかなかったのか──に関して、もともとの発案者としてミュージシャンの立場からデジタルの音、アナログの音、その普及のさせ方への疑問や提案を綴ったニール・ヤングが書いた部分。
もう一つは、ニールに依頼され、PONOの開発責任者としてさまざまな障害にあいながらも具現化・製品化していき、製品として完成させたものの最終的には失敗に終わってしまった過程、そしてそこから今までにないアーカイヴサイトを開設してハイレゾ配信を行なうまで──を、まるで「プロジェクトX」のように伴走者として綴っていくフィル・ベイカーの綴るパート。こちらも、生々しいアメリカビジネスの一端と、伴走者として見たニールの情熱にあふれた姿を浮き彫りにしていて、ファンには伝わっていなかった苦労や挫折の数々を垣間見ることができる。
ニールのミュージシャンとしての音質に関する考察・警鐘の部分と、フィルの描く、ものすごく現実的かつ人間臭いビジネスにからんださまざまなエピソードが、互いに交錯つつ、一つのドラマのように流れていく。
現在、ニールの運営するNYA(neilyoungarchives.com)は会員制だが、リスナー側の物理的な環境(PCなのかスマホなのか、あるいはタブレットか、など)を自動的に配信側が判別し、それに適した高品質の音質で配信している。また、それと連動した(本書にも登場する)Orastream.comでは、ニールの主張通り、ハイレゾもCDレベルの音質も、すべて同じ価格で販売している。
これは、「音質論」の話ではなく、今、そして今後を踏まえた、現役ミュージシャンによる「音楽の聴かれ方」を問いかける書である。
■著者について(原書より)
〈ニール・ヤング〉
世界中に数百万人のフォロワーがいる世界有数のミュージシャン。カナダ出身のシンガーソングライター、
ミュージシャン、プロデューサー、ディレクター、脚本家。1960年代に音楽のキャリアをスタートさせ、スティーヴン・スティルスとバッファロー・スプリングフィールドを結成。クロスビー・スティルス&ナッシュに参加、バックバンドのクレイジー・ホース、プロミス・オブ・ザ・リアルとともにソロアルバムを制作。途切れることなくスタジオアルバムとライヴアルバムを制作している。ピアノ、ギター、ハーモニカを自身のアルバムで担当。その音楽は、フォーク、ロック、カントリー、そのほかのスタイルを融合している。現在もツアーとアルバムのレコーディングを続行中。
グラミー賞とジュノー賞を何度も受賞。ロックンロールの殿堂のメンバーで、「ローリング・ストーン」誌が選ぶもっとも偉大なアーティスト100組の第34位に選ばれた。
環境保護主義者であり、小規模農家の保護を主張し、ウィリー・ネルソンとチャリティコンサートのファーム・エイドを主催。重度の心身障害児のための教育機関、ブリッジ・スクールの設立に協力した。
『ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア』、『ザ・トゥナイト・ショー・スターリング・ジミー・ファロン』、『ザ・レイト・ショー・ウィズ・デイヴィッド・レターマン』、『サタデー・ナイト・ライヴ』、『ザ・ビッグ・インタヴュー・ウィズ・ダン・ラザー』など、多くのテレビ番組に出演。著作に『ニール・ヤング自伝Ⅰ・Ⅱ』(奥田祐士・訳/白夜書房)、『ニール・ヤング 回想』(清水由貴子・訳/ストランド・ブックス発行)がある。
〈フィル・ベイカー〉
家電の開発でキャリアを積み、ポラロイド、アップル、セイコー、バーンズ&ノーブル、シンク・アウトサイド、PONOなどで、有名な製品の開発に携わる。30以上の特許権を所有し、シンク・アウトサイドのストウアウェイ・キーボードで、サンディエゴ・エルンスト&ヤング・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤーを受賞。
著書“From Concept to Consumer” で、製品開発のプロセスを詳細に解説。ハイテク家電の開発に乗り出したい人々にとって貴重な指南書となっている。
テクノロジーライターでもあり、ジャーナリストでもある。「サンディエゴ・トランスクリプト」で十二年間、週に一度のコラム「テクノロジーについて」を連載し、現在もさまざまなウェブサイトでコラムを執筆中。2015年にサンディエゴ・コラムニスト・オブ・ザ・イヤーを受賞。
ウースター工科大学で物理学の学士号取得、エール大学でエンジニアリングの修士号取得、ノースイースタン大学でMBA取得。
2012年にニールとのPONOミュージックプレイヤーの開発を開始以降、プロダクト・マネージャーとして、プロジェクトを牽引した。ニール・ヤング・アーカイヴズやそのほかのプロジェクトでもニールと協働をつづけている。カリフォルニア州ソラナビーチに妻のジェインと暮らしている。