アンダートーンズ(The Undertones)などを輩出した北アイルランドの伝説的なレコード屋/レコード・レーベルを描いた青春音楽映画『グッド・ヴァイブレーションズ』の日本初上映決定。2月25日(日)に渋谷ユーロライブで行われる特集上映<アイルランド映画が描く『真摯な痛み』>の上映作品のひとつ。もう1本は『マッド・メアリー』
以下、インフォメーションより
<アイルランド映画が描く「真摯な痛み」>
『スリープウォーク・ウィズ・ミー』と『ジョージア』を上映した「アメリカ映画が描く『真摯な痛み』」、『マイ・ファースト・ミスター』と『ドント・シンク・トワイス』を上映した「アメリカ映画が描く『真摯な痛み』Vol.2」の続編にして、『真摯な痛み』シリーズ3部作の完結編が2月25日(日)に渋谷ユーロライブにて開催されます! 今度の舞台はアイルランド! もちろん今回も2本立て1000円! 上映作品の1本目は昨年のレインボー・リール東京で上映されて好評を博した『マッド・メアリー』、2本目はアンダートーンズなどを輩出した北アイルランドの伝説的なレコード屋/レコード・レーベルを描いた青春音楽映画『グッド・ヴァイブレーションズ』の日本初上映になります。今後のソフト化の予定もない2本ですので、この機会にぜひー。
概要:
1)日時:2018年2月25日(日)
2)会場:ユーロライブ(渋谷)
【タイムテーブル】
12:50〜 当日券販売開始
13:15〜 開場
13:30〜『マッド・メアリー』上映
14:52〜 休憩
15:05〜『グッド・ヴァイブレーションズ』上映(日本初上映/16:48上映終了予定)
3)当日券料金:2本立て1000円(入れ替えなし・整理番号制)
※当日券は当日の12時50分より会場受付にて販売いたします。
※前売り券は苦肉の策として特別価格929円でPeatixにて販売中です。
https://peatix.com/event/332956※前売り券について※
開場は13時15分です。整理券等への引き換えの必要はございませんので、劇場への入場時にPeatixのチケット画面、もしくは予め印刷したものを係員にご提示お願いします。入場順序に関しては、「アメリカ映画が描く『真摯な痛み』Vol.2」で配布した無料券→前売り券→当日券の整理番号順となります。場内は全席自由席となっております。入金後のキャンセルは承りかねますのでご了承ください。
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昨年より開催してきた「アメリカ映画が描く『真摯な痛み』」に続く第3弾アイルランド編にして本シリーズの締めくくりとして、ベルファスト・パンクのゴッドファーザーことテリー・フーリーの半生を描いた伝記映画『グッド・ヴァイブレーションズ』ほどふさわしいものはないだろう。ジャパン・プレミアとなるこの映画は、北アイルランド紛争で揺れる1970年代のベルファストでパンクの洗礼を受けた男が、自らレコード店を開き、惚れ込んだバンドのためレーベルを設立し支援する姿を感動的に描いている。彼は分断された人々がつながり、踊り騒ぐことのできる公共の場を作っていくのだ。思うに、埋もれた名作や知られるべき日本未公開作品を全く慈善的な料金で上映する本イベントの試みと、拝金主義を忌み嫌い、利益や損得を気にも留めないテリーの生き様には重なるものがある。彼らは、ただ愛情のみが動機となって突き動かされているに違いない。そして、それはつまらない人間になることへのプロテストでもあるだろう。
一方、暴行で半年間の服役を終えダブリンの小さな町に戻ってきた23歳の女が、結婚式を控えた唯一無二の親友のブライズメイドを務めることになり、式の同伴者探しに奔走する──そのようなプロットを持つ『マッド・メアリー』において、アイルランドのスカーレット・ヨハンソンことショーナ・カーズレイク演じるメアリーは、酒飲みのケンカ好きで、不機嫌に太々しく悪態をついてはブチ切れる。ガラの悪いワーキング・クラスの彼女の造形は明らかに『フィッシュ・タンク』の影響下にあり、それはケン・ローチの流儀に連なるものでもある。ここには鬱屈したリアリズムが内包されているのだ。メアリーは幼い頃からの親友への想いをスピーチの手紙にしたためては幾度となく読み上げる。時を経ても変わることのないメアリーと変わってゆく親友との摩擦は残酷で痛切だが、彼女は初恋にも似た一途な感情がそれで救われると願っているのかもしれない。メアリーにとって友情はどこか愛情を基調として築かれているようだ。『ショー・ミー・ラヴ』も彷彿とさせるこの映画は、大胆不敵でありながら独特で複雑なこの感情を正確に捉えているからこそ、強く心を揺さぶるのだ。
『ムカデ人間』のトム・シックスは「俺にとって中指というのはほとんどの質問に対する答えだ」と言う。ラッパーのFebbは「俺の中指は立てるためにある」と歌う。周囲の期待を裏切る行動ばかり取るメアリーもテリーも無責任なのけ者かもしれない。しかし彼らは、信じていることを信じ切って自分の人生を進んで行く。ヘイターどもに耳は貸せない。笑いたきゃ笑えばいい。嫌いたきゃ嫌えばいい。パンク・ロックの国のこの2本の傑作は、どんな権威も認めずなびかない反骨のソウルとタフネスに貫かれている。
(映画ライター・常川拓也)
●『マッド・メアリー』(2016年、監督:ダレン・ソーントン)
Blu-ray上映(日本語字幕付き)
2017年 アイルランド・アカデミー賞 作品賞受賞
2017年 レインボー・リール東京 上映作品
出演:ショーナ・カーズレイク、チャーリー・ベイリー、タラ・リー
●『グッド・ヴァイブレーションズ』(2012年、監督:リサ・バロス・ディーサ&グレン・レイバーン)
Blu-ray上映(日本語字幕付き)
2013年 アイルランド・アカデミー賞 作品賞ノミネート
出演:リチャード・ドーマー(『ベルファスト71』『イレブン・ミニッツ』)、ジョディ・ウィッテカー(『アタック・ザ・ブロック』『ドクター・フー』)、リーアム・カニンガム(『ゲーム・オブ・スローンズ』)
主催:岡俊彦
協力:レインボー・リール東京
お問い合わせ先:岡俊彦(電話:080-4065-3412 メール:hardway@ba.mbn.or.jp)