轟音ツインギター+リズムボックスで、90年代の英インディ・シーンを盛り立てた
カーターUSM(Carter USM)。フロントマンだった
ジム・ボブ(Jim Bob)ことJ・B・モリソンは作家としても活躍。3作目の小説が『フランク・デリク81歳 素晴らしき普通の人生』の邦題で翻訳刊行決定。10月27日に三賢社から出版されます。
以下、インフォメーションより
「冒険は、どんなにささやかなものであれ、あらゆる年齢の人に訪れる。」
年金生活者が多く住むイギリス南部の海辺の村、フルウィンド‐オン‐シー。愛猫のビルと暮らすフランクは、訪問セールスと勧誘電話の撃退が日課となっている。そんなある日、庭先で牛乳配達の車に轢かれ、右腕と左足の甲を骨折してしまう。その日はよりにもよって、彼の81歳のバースデーだった。アメリカに住む一人娘のベスは、在宅ケア事業者の〈レモンズ・ケア〉から介護の女性を派遣してもらうことを決める。
そして、彼の日常を支えるために颯爽と現れたのが、ホームヘルパーのケリー・クリスマス。若い女性の登場に、退屈でせんさく好きな近隣者たちは、いっせいに窓から様子をうかがう。最初は気乗りがしないフランクだったが、次第にケリーの思いやりに気づき、もう変わるはずのなかったふだんの生活が、少しずつ違った色に染まっていく。 しかし、娘が交わした契約ではケリーの訪問は週1回の合計12週間。最後の訪問日が近づくにつれ、フランクは何とかその日を引き延ばそうと画策するのだが……。
老いと孤独、そして友情。笑いの中にペーソスが漂う、イギリスであらゆる世代の心をつかんだユーモア小説の傑作。映画ファンにおすすめ。
また主人公フランクは、栄えある2015年度ベストオールダーピープル・イン・メディア・アウォーズの“書籍、映画、テレビ・ラジオドラマのキャラクター部門"で、名優イアン・マッケランが演じた『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』のシャーロック・ホームズらを抑えて堂々1位に輝いた。
●『フランク・デリク81歳 素晴らしき普通の人生』
<著者について>
☆著者 J・B・モリソン ミュージシャン、作家。ロンドンにて、舞台監督のフランクと、歌手のジェニーのあいだに生まれる。1980年代末よりパンクポップバンド、カーターUSM(カーター・ジ・アンストッパブル・セックス・マシーン)のシンガー、ジム・ボブとして活躍、シングル14枚がトップ40入りを果たし、アルバム1枚がチャートの1位に輝いた。来日公演も行っている。同バンドでの10年間を描いた自叙伝にGoodnight Jim Bobがある。小説はStorage Stories、Driving Jarvis Hamにつづき、本作が3作目。映画の脚本も書いている。
☆訳者 近藤隆文(こんどう・たかふみ) 翻訳者。一橋大学社会学部卒。主な訳書に、クリストファー・マクドゥーガル『BORN TO RUN 走るために生まれた』、ジョナサン・サフラン・フォア『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』、 ゲイリー・シュタインガート『スーパー・サッド・トゥルー・ラブ・ストーリー』(以上、NHK出版)、ピーター・エイムズ・カーリン『ブルース・スプリングスティーン』(アスペクト)、コリン・クラウチ『ポスト・デモクラシー』(青灯社)など。