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クイーンズライク『Operation: Mindcrime』の制作についてジェフ・テイト回想 細部まで徹底的にこだわった“ヘッドフォンで聴くための作品”だった

2026/03/23 20:42掲載
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Queensryche / Operation: Mindcrime
Queensryche / Operation: Mindcrime
クイーンズライク(Queensryche)の1988年アルバム『Operation: Mindcrime』は史上最高のコンセプト・メタル・アルバムの1つとも言われいます。当時のリード・シンガーで現在はソロなどで活躍しているジェフ・テイト(Geoff Tate)はポッドキャスト『UCR Podcast』の新しいインタビューの中で、同作の制作について振り返っています。

ジェフ・テイトは、このシリーズの第3章で、最終章となるアルバム『Operation: Mindcrime III』を5月にリリースする予定です。

クリス・デガーモ(Chris DeGarmo)がバンドにいた頃は、曲作りや、音楽で何をやりたいのかについて本当によく話し合っていた。当時のモットーは、とにかく“制限を設けない”ことだった。世間の評価や流行、ジャンルといったものに流されたくなかったんだ。

自分たちの音楽的ビジョンをとことん追求したかったし、その考えには何年も何年も、ずっと強いこだわりを持っていた。それに、俺たちは二人とも60~70年代の音楽、とくにストーリー性のあるアルバムやコンセプト・アルバムから大きな影響を受けていたからね。たとえばビートルズの『Sgt.Pepper』とか。あと個人的には、ジェネシスの『The Lamb Lies Down on Broadway』からもすごく大きな影響を受けたよ。

そういったアルバムが、俺たちの音楽のボキャブラリーみたいなものを形作っていったんだ。俺らが一緒にやり始めたとき、お互いにそういうレコードを聴かせ合って、曲作りに対して感じていることや考え方にたくさんの共通点があるのを見つけた。それで『Rage for Order』の頃には、本格的にそれを意識し始めて、アルバム全体をテーマでつないでいくような構成に取り組み始めたんだと思う。

そのあと『Operation: Mindcrime』では一気にアクセルを踏み込んだ感じだったね。本格的なコンセプト・アルバムを作りたいって、かなり真剣に話し合った。ただ当時はまだストーリーがなかった。でも最終的にそれができて、俺がストーリーを持ち込んだらクリスも気に入ってくれて、そこから『Mindcrime』の制作が始まったんだ。

本当にすごく密なコミュニケーションと話し合いがあったよ。“こういうことをやりたい”“こういうやり方でやりたい”“自分もそう思う”“じゃあこうしてみよう”“音楽はこういう方向に持っていこう”っていう感じでね。初めて本気で曲を書き、世界をツアーで回りながら、当時起きていた、いろんなことから影響を受けていた。若者たちの熱意が溢れていたんだよ。それはいわば、俺たちにとってさらなる学びの場となったんだ。大学に行く人もいるけど、俺たちは世界を旅することで学んだんだ。

いろんな要素がうまく噛み合っていて、あの時の俺たちは本当にこれ以上ないくらい最高の状況にいたんだと思う。素晴らしいアイデアもあったし、一緒に演奏してくれる才能あるミュージシャンも揃っていた。それにピーター・コリンズ(Peter Collins)がプロデュースを担当してくれたが、彼は本当に、本当に素晴らしいプロデューサーだった。彼は俺たちのアイデアをまとめ上げて一点にフォーカスさせる、ということをやってくれたんだ。

それに、Q Primeという強力なマネジメント会社も味方につけていた。俺たちがやりたいことを伝えたら“じゃあそれを作れ。売るのは俺たちがやる”って言ってくれてたんだよ。作りたいものを何でも作れるよう、完全な自由を与えてくれたんだ。

そんな環境で制作に入ったから、いわば“万全の準備が整った状態”だったんだ。手持ちの弾薬(曲)は山ほどあったし、実際、ピーターと作業を始める時点で、アルバム自体はすでに書き上がっていたんだ。彼が加わってからは、俺たちのアイデアをすべて磨き上げてくれて、そして――あっという間に仕上がり、4か月後には、もうアルバムが完成していたんだよ。

ピーターは実際、楽曲のアレンジにもかなり大きな影響を与えていた。たとえば“I Don't Believe in Love”では、今聴けるようなブレイクの多くは当初あまりなかった。最初のヴァースの後にちょっとした解放感があって、次のヴァースに入る前にベースとドラムだけのシンプルなパートに落ちるんだけど、あの部分はもともとなかったんだ。

彼は、スコット(ロッケンフィールド)やエディ(ジャクソン)が以前に他のヴァースでやっていた、ちょっと裏拍を強調するようなリズムをすごく気に入っていて、“それはすごく効果的だから、毎回のヴァースに入れたほうがいい”って言ってくれたりね。彼は良いものをちゃんと見抜いて、“それをもう一度やろう”とはっきり言える人だった。

俺の場合は、伝えたいストーリーがあって、それをどう届けるかを試していたんだ。すると、ピーターは“なるほど、君がやろうとしていることはわかった。でも、まだうまく届いていないね。じゃあ、こういうアプローチを試してみたらどうだろう?”って言ってくれた。答えを直接教えるんじゃなくて、正しい方向に導いてくれるタイプだった。それがすごく良かったんだよ。たぶん彼自身も完全な答えを持っていたわけじゃないんだろうけど、その方向に進めば俺が答えにたどり着けるって分かっていたんだと思う。本当に一緒に仕事がしやすくて、すごく楽しかったよ。

彼が言ってくれたことで、特に印象に残っているのは、俺にはセリフについて、曲と曲の間にシーンを作って全体の雰囲気を演出したいというアイデアがあった。すると彼はこう言ったんだ。“いいかい、もしその方向でいくなら、ちゃんとやらないとダメだ。セリフや演技を入れるなら、本気でやるべきだ”ってね。要するに、クオリティの高い演技が必要だってことさ。

それはすごく的確なアドバイスだった。それで彼は“じゃあ、まずはアウトラインと脚本の形で全体を組み立てよう。どんなことが起こるのか、登場人物は誰なのか、シーンはどこで展開されるのかをはっきりさせよう”と言ったんだ。まるで物語や映画の脚本を書くときみたいに、きちんとシーンを設定していったんだよ。

とにかく細部まで徹底的にこだわった。部屋の広さがどれくらいなのかを考えて、看護師がその部屋を歩くときに何歩くらいになるのか、部屋のサイズによってどんなリバーブが聞こえるのか、そんなところまでね。本当に細かいところまでこだわった。

たとえばドクターXの声で“彼女を殺せ。やるべきことはそれだけだ”っていうセリフがあるんだけど、ピーターはこう言ったんだ“あの声はプロの俳優にやってもらわないとダメだ。オーディションをやって、実際にセリフを読ませて、一番役に合う人を選ぼう”。

実際に10人か11人くらいオーディションに来て、みんなそれぞれ演じて貰ったんだけど、ある男が来てね。彼はシェイクスピア俳優みたいな感じで、“彼女を殺せ!”って大げさにやってね。もうみんなで大笑いして、“いやいや、それは違うでしょ”って感じだった。結局、ぴったりの人を見つけるまでに10回か11回くらい試したよ。

アンソニー・ヴァレンタインが、その役を見事にやってのけた。本当に完璧だった。ああいう細かい作り込みのすべてが、このアルバムにとってものすごく重要だった。当時は特に、アルバムで、ああいうことをやっている人はほとんどいなかったからね。普通はただ曲が順番に並んでいるだけだったのに、この作品では声が入り、雨や雷の音があって、教会のシーンがあったり、リムジンの窓が下がる音もあった。まったく別物の(アルバム)だったんだ。

まさに“ヘッドフォンで聴くためのアルバム”だったんだ。俺たちはそういう作品を作りたかった。クリスと俺はヘッドフォンで音楽を聴くのがすごく好きだったからね。

(インタビュアー:クリス・デガーモとは今でも連絡を取り合っていますか?)

いや、最後に話したのは……たぶん10年くらい前かな。曲作りを始めた頃、音楽キャリアを始めたばかりの頃には多くの共通点があった。でも、時が経つにつれて、だんだんと疎遠になっていった。結局、俺たちを結びつけていたのは音楽だったんだ。ほかの面では、友情を続けるほどの共通点はあまりなかった。時間とともに自然と終わっていった関係だった、という感じかな。

彼のアイデアに対するオープンさがすごく好きだった。ソングライティングも巧みで、自分自身の音楽性をさらに押し広げようとしていたし、実際にそれをやってのけていた。彼が思いつくことにはいつも驚かされていた。彼は探究心があって、自分で物事を解き明かせる人だったんだ。

それに、マイケル・ウィルトンと一緒に、ギターでも本当に素晴らしいことをやっていた。よくミュージシャンにクイーンズライクの曲を聴かせて“これ弾ける?”って聞くと“ああ、余裕だよ”って言うんだけど、実際に弾き始めると、全然正しく弾けないんだよ。そこが彼らのすごいところなんだ。

クリスとマイケルは、ギターのコードを分散させて、いろんなのインバージョンを作った。二人がまったく同じことを弾くんじゃなくて、それぞれがコードの一部を担当して弾いていた。それがすごくユニークで、他とは違っていた。それによって(大きな効果を)もたらし、みんながいつも話題にし、求めている、いわゆる“クイーンズライクらしいギターサウンド”として語られるあの音を生み出したんだ。だから彼らは、その点で真に革新的だったと思うし、それを追求し、形にして、完成させたことには大きな敬意を抱いているよ」