
The Kinks / Lola versus Powerman and the Moneygoround, Part One
ザ・キンクスのデイヴ・デイヴィス vs モービー。
モービー(Moby)が英ガーディアン紙の新しいインタビューの中で、
ザ・キンクス(The Kinks)の代表曲のひとつ「Lola」の歌詞を「不快でトランスフォビック(※トランスジェンダーに対して差別的・敵対的)」「未熟」と批判したことに対して
デイヴ・デイヴィス(Dave Davies)が「侮辱的だ」と反論しています。
モービーは同紙のインタビューの中で、「もう聴けなくなってしまった曲」の質問に、こう答えています。
「ザ・キンクスの“Lola”がSpotifyのプレイリストで流れてきたんだけど、歌詞が不快でトランスフォビックだと感じた。彼らの初期の音楽は好きなんだけど、歌詞がこれほど未熟だとは本当に驚いたよ」
この曲を書いた
レイ・デイヴィス(Ray Davies)の弟で、ザ・キンクスのメンバーのデイヴ・デイヴィスは、これに対してSNSに、こう投稿しています。
「最近のガーディアンのインタビューで、モービーが僕たちの曲“LOLA”を批判したことについて、これは、親愛なる友人でありトランスジェンダーのアイコンでもあるジェイン・カウンティから僕とレイ宛に送られてきた言葉である。モービーが僕の兄を“未熟”だとか、いかなる形でもトランスフォビックだと非難するのは、とても侮辱的だと感じている
■ジェイン・カウンティが語る“Lola”が自分にとって意味するもの
もちろん、最初に“Lola”という名前を聞いたとき、私の頭に浮かんだのは、1930年の映画『嘆きの天使』の中で、人で溢れ、煙が立ち込める部屋のステージに立つマレーネ・ディートリヒが、彼女の最も有名な歌のひとつ“Lola!”を歌っている情景が思い浮かびました。“私はいたずらなローラ、男たちはみんな私を知っているの!”というあの曲です。私はずっと、ザ・キンクスのあの曲に出てくる若い女性は、もしかしたらディートリヒのキャラクターから名前を取ったのではないかと思っていました。
そして、ロンドンのソーホーにある、ちょっと場末で薄暗いバーになら、きっと“興味深い”夜の住人たちが集まっていることでしょう。低い声で“ローラ”という名前の女性なら、トランスヴェスタイト(異性装者)やトランスセクシュアルとの出会いがあっても不思議ではありません。
この曲を初めて聴いたとき、ザ・キンクスがトランスジェンダーの人物について歌っていることに、私は興奮し、同時に驚きました。そして、それに気づいた人は他にもいるのだろうかと考えました。ザ・キンクスが何を歌っているのかに気付くほどクールでイケてる人はいたでしょうか!
“Lola”は、私にとって、いわば“凍りついた静寂を砕いた”曲のひとつです。壁を打ち破り、かつてはタブー視されていたテーマを表に引き出し、ローラという名の“女の子”について歌うことが、ごく自然なものとして響かせた楽曲でした。ラジオ局はそのテーマを十分に理解していなかったかもしれませんが、多くのファンはちゃんと受け取っていました。それこそが本当に重要なことなのです。
“Lola”は、間違いなく私のソングライティングにも影響を与えましたし、私の曲“Wonder Woman(Are you wondering?)”の中でも、“情熱のキスマークを残すローラ”という一節で“ローラ”に触れています。
“Lola”は、これからもずっと、私にとって特別な曲であり続けるでしょう。この曲によって、ザ・キンクスは自分たちを現代な世界へと押し出しました。つまり、現実の世界へ。そこは、バイセクシュアル、ゲイ、トランスなど、さまざまな人々が存在する世界であり、ストレートな異性愛者だけの世界ではありません。
“Lola”は、偏狭な価値観の扉を打ち破りました。そして、こんなにも素晴らしいストーリーを持つこの曲を届けてくれたザ・キンクスに、私はこれからも感謝し、喜び続けるでしょう。トランスジェンダーである私にとって、この曲は永遠に特別な存在です。
ジェイン・カウンティ」