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「クラフトワークがアトミック・キトゥンを生み出したなんて誰も信じてくれないんだ」 英ガールズグループの生みの親OMDのアンディ・マクラスキー語る

2026/03/17 14:21掲載
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Orchestral Manoeuvres in the Dark photo: Ed Miles
Orchestral Manoeuvres in the Dark photo: Ed Miles
クラフトワーク(Kraftwerk)が(英ガールズグループ)アトミック・キトゥンを生み出したなんて、誰も信じてくれないんだ」。同ガールズグループの生みの親であるOMDことオーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダーク(OMD / Orchestral Manoeuvres in the Dark)のアンディ・マクラスキーは英ガーディアン紙のインタビューの中で、そう語る。アンディに結成を助言したのはクラフトワークのメンバーでした。

以下インタビューより。

クラフトワーク(Kraftwerk)がアトミック・キトゥンを生み出したなんて、誰も信じてくれないんだ。1996年に、僕のバンドOMDは“Walking on the Milky Way”をリリースした。これは僕がこれまでに書いた曲の中で最高の1曲だと思う。でもブリットポップ全盛期において、僕たちは“80年代のシンセポップバンドで賞味期限切れ”みたいに見られていたんだよ。BBC Radio 2はこの曲をかけてくれなかったし、(スーパーマーケットの)ウールワースも取り扱ってくれなかった。僕はこう思ったよ。“まるで片腕を縛られたまま戦っているみたいだ”と。そんなとき、友人のカール・バルトス(Karl Bartos)(クラフトワーク)が“じゃあ君の曲を届ける手段として、ガールズバンドを作ってみたらどうだ?”と言ったんだよ。

そこでケリー・カトーナ と会うことにしたんだけど、彼女はスタジオに元気よく飛び込んできて、いきなり最近撮ったトップレス写真を見せ始めたんだ。なかなかユニークな面接だと思ったよ。彼女は最高のシンガーってわけじゃなかったけど、マリリン・モンローみたいだった。自分がどれだけ魅力的で美しいかを、本人は気づいていなかったんだ。彼女はバンドの振付師でもあった。彼女なら有名になるためならどんな困難も乗り越えるだろうと僕は確信していた。だって、彼女はとても大変な人生を送ってきていて、お金持ちになって有名になればすべてが変わると信じていたからね。

リズ・マクラーノンは鮮やかなブルーのカラーコンタクトをつけてやって来たし、ナターシャ・ハミルトンは赤い髪で、これまで見た中でもいちばん高い頬骨の持ち主だった。僕はスチュワート・カーショウ(OMDのドラマーでありアトミック・キトゥンの共同プロデューサー)にこう言ったんだ。“もし彼女が歌えるなら、即決だ”とね。――そして、彼女は見事に歌えたんだ。

“Whole Again”は、もともとエレクトロニックなバラードとして始まったんだけど、スチュアートが“これじゃダメだ。一日くれ、モダン・ゴスペルソングに変えてみせる”と言ってね。彼はドラムをフージーズの“Killing Me Softly”のような感じにして、ベースとオルガンを加えた。すると突然、曲の雰囲気がまったく別物になったんだ。

この曲は、関係が終わった瞬間の、何かが欠けてしまったような喪失感――まるでジグソーパズルの一部が足りないような感覚を歌っている。ナターシャがリードを取り、彼女の力強い声は抑えられ、どこか諦めの感情がにじんだトーンで歌っている。リズは、いつだって胸を締めつけるような歌声の持ち主だった。ケリーの語りのパートは39テイクもかかった。数か月にわたって録ったのは、彼女が扁桃腺を摘出して声が劇的に変わってしまったからなんだ。

“Whole Again”は全英1位を獲得したけど、当時のモダン・ポップスのプロモーションがどれほど過酷になっているのか、僕はまったく分かっていなかった。ケリーにはどうにも合わなかった。彼女は『The Pepsi Chart Show』に向かうためバンに乗り込んだものの、途中で精神的に崩れてしまって“無理、できない”と連絡してきた。そこで現実的なタイプのナターシャがすぐにジェニー・フロストに電話したんだ。“タクシーに乗って『The Pepsi Chart Show』のスタジオに向かって。それと移動中に“Whole Again”のミドルエイトを覚えてきて。だって、あなたが生で歌うことになるから”とね。

僕は、この曲が心に響くのは、失恋を経験したことがある人なら誰にでも共通するテーマだからだと思う。普遍的なテーマだからね。一番笑えたのは、ワールドカップやユーロの会場で、上半身裸の中年で太り気味のイングランドのサポーターたちが“サウスゲート、あなたこそ特別な存在、今でも胸がときめく”と大合唱しているのを見たとき。あれは今までで一番シュールな出来事だったよ」