マリアンヌ・フェイスフル(Marianne Faithfull) の晩年に撮影され、彼女の生前最後のパフォーマンスも収められた公式ドキュメンタリー映画『Broken English』。トレーラー映像が公開されています。
本作はドキュメンタリー+ドラマ作品で、よくあるキャリア回顧のドキュメンタリーとは一線を画すアプローチを取っています。映画では、俳優のティルダ・スウィントンが「忘却防止省(The Ministry Of Not Forgetting)」という組織のリーダーを演じ、実際のフェイスフルの映像や彼女の人生の断片を紹介する形で、フェイスフルの自身の人生と長いキャリアを振り返っています。
たとえば、トニー・リチャードソン監督が手がけた映画『ハムレット』でオフィーリアを演じた場面や、1965年に「As Tears Go By」を歌う映像、さらに今世紀に入ってからの近年の記録までが紹介されています。
監督はBAFTAノミネート経験のあるイアン・フォーサイスとジェーン・ポラード。英ガーディアン紙の特集によると、サミュエル・ベケットの戯曲オペラ『クラップの最後のテープ』に触発され、老人が若い頃の自分の録音を聴くというこのアイデアを、監督の2人は本映画に取り入れる企画をフェイスフルに提案。フェイスフルは健康状態が不安定であったにもかかわらず(当時、彼女は新型コロナウイルスによる合併症に苦しんでいた)、この企画に賛同しました。
映画には、
ニック・ケイヴ(Nick Cave) 、
ウォーレン・エリス(Warren Ellis) 、
コートニー・ラヴ(Courtney Love) 、スキ・ウォーターハウス、
ベス・オートン(Beth Orton) 、ジェニー・ベスら友人や長年のコラボレーターたちも登場します。
監督たちは、3日間の撮影の最後にフェイスフルがパフォーマンスを披露することを期待していましたが、歌えるほど体調が回復していなかったため、医師の助言により、この時はパフォーマンスの撮影は断念しました。しかし、撮影から1年後、フェイスフルは奇跡的に回復し、ニック・ケイヴとウォーレン・エリスと共にスタジオでエンディング曲を録音することができまた。
監督のフォーサイスは「本当に特別な瞬間でした。彼女が大好きなミュージシャンたちと共に、自然体のまま音楽を作っている姿を見れたんです。人生の終わりに近づいた彼女に、そんな贈り物をできたことは、とても特別なことに感じられました」と振り返っています。同じく監督のポラードは「少し涙が出ました。ウォーレン・エリスはマリアンヌが歌うたびに、ほとんど毎回泣いていました。あの場での彼女の声は本当に圧倒的で、彼女の存在の隅々まで伝わってくるんです」と付け加えています。
映画『Broken English』は英国では3月20日公開。
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